令和4年2月定例会(第6号) 2022年3月7日

◯二十番(朝倉浩一君)
 歳出第四款福祉医療費第七項生活衛生費第四目獣医務事業費のうち、狂犬病予防費について質問いたします。
 令和二年十月決算特別委員会において、狂犬病予防費について、野犬捕獲への取組について質問いたしました。県では、美浜町をはじめとする知多半島地域については、野犬捕獲の重点地域として愛知県動物愛護センター知多支所において野犬等の捕獲に取り組んでいただいております。毎年、捕獲おりを新規購入し、犬が警戒心を持ちにくい大型の捕獲おりを購入したり、野犬の捕獲に努めていただいておりますが、昨年の捕獲状況と今後の対応を伺います。
 次に、第六項保健医療費第三目疾病対策費の感染症対策事業費のうち、感染症予防事業費について質問いたします。
 犬におけるエキノコックス症の発生についてですが、二〇一四年四月四日付で愛知県阿久比町にて獣医師が検出するとともに、県の調査により二〇一八年三月二十七日には、阿久比町、南知多町、知多市にて捕獲された野犬から犬のエキノコックス(多包条虫)が検出されたことを受け、感染症法に基づき、エキノコックス症を診断した旨の届出がありました。
 エキノコックスとは、もともと北海道のキタキツネにいる寄生虫の名前で、北海道は流行地域とされています。ヒトのエキノコックス症とは、エキノコックス属条虫の幼虫(包虫)に起因する疾患で、人体各臓器、特に肝臓で包虫が発育し、諸症状を引き起こす。また、ヒトには成虫に感染しているキツネ、犬などのふん便内の虫卵を経口摂取することで感染をいたします。
 現在、エキノコックスが北海道全域に分布しており、多包性エキノコックス症は国民の健康に脅威を与える感染症となっております。そのために感染症法では、エキノコックス症を四類感染症全数把握疾患に指定し、全患者発生例の報告を義務づけております。
 愛知県では、県内のエキノコックス感染状況を把握する目的で野犬のエキノコックス症に係る周辺検査を実施しております。調査は、知多半島で捕獲された野犬等を対象として、ふん便中におけるエキノコックス虫卵の顕微鏡検査を開始しましたが、二〇一八年三月末までの検査件数は二百四十五検体で、全ての検体でエキノコックス虫卵は検出されませんでした。
 一方、国の調査研究協力の一環としてPCR法によりふん便中に含まれるエキノコックスの遺伝子を検索したところ、二〇一七年四月から二〇一八年三月までに採取した五十六件中三件の野犬のふん便からエキノコックス遺伝子が検出をされました。その後も本県の調査により、二〇二〇年二月に一件、二〇二〇年四月に二件、二〇二一年二月に一件、二〇二一年三月に一件の陽性事例がありました。犬の陽性事例は累計九件です。
 そこで、改めてエキノコックスについて伺います。
 知多半島では、野犬のふん便からエキノコックスが検出されていますが、知多半島以外でも検出されているのか、伺います。
 また、北海道では、キツネにおけるエキノコックスが問題となっている中、知多半島においてもキツネやタヌキ等の野生動物が生息をしており、エキノコックスに感染する可能性があると考えられますが、これらの動物に対するエキノコックスの検査は実施していますでしょうか。
 また、エキノコックスを不安に感じている住民に対し、どのように不安解消に取り組んでいくか、お伺いいたします。

◯保健医療局長(吉田宏君)
 初めに、知多半島地域の野犬の捕獲状況と今後の対応についてお答えいたします。
 県では、二〇一四年度から成犬の捕獲にも有効な大型の捕獲おりを導入しており、知多半島地域では現在二台が設置済みでございます。
 昨年の捕獲状況についてでございますが、美浜町では、成犬九頭、子犬十三頭の計二十二頭、知多半島全体では、成犬百七十七頭、子犬二百十七頭の計三百九十四頭を捕獲いたしました。
 県では、来年度以降も大型の捕獲おりをさらに導入、活用し、効率的な野犬の捕獲に努め、地域の安全の確保を図ってまいります。

◯感染症対策局長(杉原武君)
 感染症予防事業費に関する質問のうち、初めに、エキノコックスの検出状況についてお答えします。
 エキノコックスの検査につきましては、知多半島を調査地域として、県衛生研究所において二〇一四年六月に顕微鏡による虫卵検査を開始し、二〇一八年四月からは遺伝子を検索するPCR検査も追加しました。また、二〇一九年四月からは調査範囲を拡大して、中核市である岡崎市及び豊田市を除く西三河地域に、知多地域及び西三河地域と隣接する豊明市を加えた十九市町において検査を実施しております。
 この結果、二〇二二年二月末までに七百九十七検体を検査し、九例の陽性事例が判明しております。一例目は虫卵検査が陽性でしたが、二例目以降はPCR検査のみ陽性であり、虫卵は見つかっていません。また、いずれも知多半島内の市町で捕獲された野犬であり、これまでのところ知多半島以外の地域での陽性事例はありません。
 次に、野生動物に対するエキノコックス検査についてお答えします。
 イヌ科の野生動物は、エキノコックスに感染したネズミを食べることで感染することから、キツネやタヌキも感染する可能性があります。本県では、狂犬病予防法に基づいて、捕獲された野犬等のふん便を用いて検査を実施しておりますが、二〇一四年六月からの八年間において陽性事例は九例であり、陽性率も一・一%と北海道のキツネの約四〇%と比べて非常に低い数値となっています。このため、野生動物を捕獲しての調査までは行っておりませんが、偶然、野犬捕獲用のおりにキツネやタヌキが捕獲されることがあり、ふん便が採取できる場合は、キツネやタヌキについてもエキノコックスの検査を実施しているところです。
 これまでにキツネ十八検体、タヌキ五検体の計二十三検体について検査を実施しましたが、陽性となった事例はありません。
 最後に、県民に対する不安解消の取組についてお答えします。
 エキノコックス症は、人と動物に共通する感染症で、感染したキツネや犬の便により汚染された食物や水等を人が偶発的に飲み込むことにより感染します。
 本県におけるエキノコックスの状況は、陽性率が低いことや、県内での人への感染事例もないことから過度に不安になる必要はないものと考えております。
 また、エキノコックス症は正しい予防方法を行えば予防できます。具体的には、野山に出かけ、帰ったときはよく手を洗うこと、野犬や野生動物にはむやみに触れないこと、沢や川の生水は飲まないことや、山菜や野菜、果物等はよく洗ってから食べることなどです。
 正しい知識と予防方法を啓発するため、本県ではウェブページにおいて、感染経路や感染予防方法を周知しているところです。さらに、関係市町と連携しながら市町村の広報紙を活用して住民に直接周知するなど、より効果的な啓発を実施してまいります。
 また、来年度、国立感染症研究所が知多半島で実施を予定している調査研究事業に協力することで、国立感染症研究所の調査結果も活用しながら、県民に対する不安解消に努めてまいります。
 今後も、こうした取組を着実に進めることで県民の皆様の安心・安全の確保を図ってまいります。

◯二十番(朝倉浩一君)
 御答弁ありがとうございました。
 簡単な要望でありますが、日本では北海道で十人から二十人程度の患者の報告があると聞いておりますが、人から人への感染はありませんが、半田市には有名な童話作家、新美南吉がおりまして、ごんぎつねという作品がありまして、このごんぎつねのゆるキャラがごん吉くんってあるんですけど、いろんなこういったことで風評が起こらないようにお願いしたいと思いますし、エキノコックス症の検査体制や予防対策をしっかり行っていただきたいと思います。そういったことを御要望して終わります。ありがとうございました。

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