令和4年農林水産委員会 2022年3月14日

【朝倉浩一委員】
 南知多町内海の太陽光発電設備の設置工事は、事業者による樹木の無断伐採や町道の破損などに対して地元住民から反発があり、現在、太陽光発電施設の開発は一時中止となっているが、開発地は森林が伐採され地山が露出しており、県の管理河川である内海川への影響が懸念されている。
 新聞報道などによると、事業者が、面的にまとまりのある5地区において発電事業を90以上に細分化していたことと、事業主を会社や社員の4者に分けていたことが要因となり、愛知県立自然公園条例や砂防指定地内における行為の規制に関する条例、南知多町太陽光発電設備の設置等に関するガイドラインなどの手続がされないまま、事業に着手したとのことである。
 そして、工事が急ピッチで進む中、無断伐採や工事に伴う盛土で町道が不通になるなどのトラブルが発生し、住民から土砂崩れを心配する声も上がったことから、昨年12月18日、南知多町の要請により住民説明会が開催され、地元住民からの厳しい声が相次いだと聞く。
 その後も、度々新聞報道等がされる中で、事業者は、本年2月13日に改めて住民説明会を開催し、計画の白紙化と一時撤退の意向を示した。
 太陽光発電施設をはじめとする再生エネルギーの推進は、カーボンニュートラルの観点から必要だと思うが、南知多町における工事の場合は、事業者が法で定められた手続に応じないまま進めたことで、環境保全や防災面から地元住民の不安や反発につながったと聞く。そこで、太陽光発電施設を設置する場合、様々な法令に関する手続が必要であるが、森林を伐採して太陽光発電施設を設置する場合、森林法ではどのような手続が必要であるのか。

【林務課長】
 太陽光発電施設の設置をはじめ森林を伐採して森林以外の用途に転用する場合の手続については、面積規模により手続が異なっており、森林の開発面積が1ヘクタールを超える場合は、知事の許可が必要で、1ヘクタール以下の場合は、市町村長に伐採の届出を行う必要がある。
 知事の許可が必要な林地開発許可制度は、土砂の流出や崩壊による災害及び水害の防止などを図るため、事業者が開発しようとする森林の場所や開発面積、防災の計画などを記載した申請書を提出し、県が、森林法の許可基準に基づいて許可を行うとともに、工事完了確認などを行う。
 市町村長へ届け出る伐採届出制度は、森林所有者や伐採の権限を有する者が、事前に伐採する森林の場所や面積、樹種、伐採後の用途などを記載した届出書を、森林が所在する市町村へ提出する。

【朝倉浩一委員】
 南知多町における工事では、届け出た範囲を超える伐採が行われたと聞いているが、森林法に基づいてどのような対応をしているのか。

【林務課長】
 今回の事業者は6地区で太陽光発電事業を計画し、そのうち5地区で実際に工事が始まった。この5地区のうち3地区で森林が関わっており、いずれも1ヘクタール以下の森林を伐採する計画であったため、森林法に基づく伐採届を南知多町に提出する必要があった。
 伐採届を受け付けるのは南知多町であるが、町には森林に関する専門的知識を有する林務系の技術職員がいないため、県の知多農林水産事務所林務課の職員が積極的に関わり、南知多町と連携して事業者に対して伐採届を提出するように指導を行い、伐採届が提出された。しかし、昨年12月10日に、町が現地を確認したところ、伐採届が提出された範囲を超えて伐採していることが判明した。その後、知多農林水産事務所の職員に加え、県庁の職員も現場に出向いて対応に当たるなど、南知多町へのサポートを強化し、直ちに事業者に対して伐採の中止と届出していない区域を植栽して復旧するよう指導した。その結果、昨年12月17日に、事業者が指導に従う意向を示した。そして、本年2月13日の住民説明会で、事業者が全事業計画を白紙にすることと伐採区域全域について植栽による復旧を表明した。
 地域住民が復旧は適切に行われるのか不安に感じていると聞いているので、植栽による復旧が確実に行われるように引き続き南知多町と連携して事業者の指導に当たっていく。

【朝倉浩一委員】
 伐採した森林は、事業者が責任を持って復旧するとのことであったが、地元住民からは、このような事業者に復旧を任せて大丈夫なのか、内海川の水害対策を含めて復旧できるのかなど、不安や不信の声を聞く。
 また、南知多町は、太陽光発電の開発により明らかになった問題点に対してガイドラインの改正を行っているが、今後の運用に当たっての課題として、技術者やノウハウ不足によって排水計画の基準設定や指導及び審査する体制が整っていないことを挙げている。
 県のサポート体制を強化して、南知多町を支援してほしい。

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