令和4年総務企画委員会 2022年10月6日

【朝倉浩一委員】
 当委員会の県外調査で視察した有明の丘地区の東京湾臨海部基幹的広域防災拠点は、東京臨海広域防災公園の中にあり、首都直下地震における発災時の対応等について説明を受けた。
 阪神・淡路大震災での甚大な被害、情報網の寸断、行政機能の麻痺等の経験を踏まえ、現地災害対策本部の法定化、初動体制・情報システムの整備、消火・救出活動に係る連携体制の強化、救援物資の受入体制や医療体制の充実等に対応するすばらしい広域防災拠点であった。
 現在、県が整備を進めている愛知県基幹的広域防災拠点もこれに匹敵する施設になると期待しているが、南海トラフ地震がいつ発生してもおかしくないと言われ、仮に今、そうした巨大地震が発生した場合、有明の丘地区の東京湾臨海部基幹的広域防災拠点のような機能はどのように確保するのか。

【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
 南海トラフ地震発生後、自衛隊、警察、消防等の各部隊が直ちに活動を開始するとともに、甚大な被害が見込まれる地域に人的・物的資源を重点的かつ迅速に投入するため、国において、南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画が定められている。
 この計画では、各地域の被害の状況に応じて速やかに政府の緊急災害現地対策本部が設置されることとなっており、中部地域の現地対策本部は、名古屋合同庁舎第2号館3階に設けられ、司令塔の機能を果たす。
 また、応援部隊の拠点としては、救助、救急、消火等の活動を行う部隊が参集する広域進出拠点や災害医療を担うDMATの参集拠点として、県営名古屋飛行場をはじめ県内17か所が指定されている。
 さらに、国等から供給される物資の受入れ、集積、分配を行う広域物資輸送拠点として、愛・地球博記念公園をはじめ県内5か所が指定されている。
 なお、こうした全国からの応援に総合的かつ大規模に対応するため、名古屋飛行場及び名古屋港が大規模な広域防災拠点に位置づけられており、仮に今、南海トラフ地震が発生した場合には、この計画に基づき、これらの拠点を最大限活用して、国と県が連携して災害応急対策を実施していく。

【朝倉浩一委員】
 愛知県基幹的広域防災拠点の供用開始は2026年度を予定しており、完成に向けて用地買収を実施するとのことであったが、地権者との交渉の進捗状況はどのようになっているか。

【防災拠点推進室担当課長(防災拠点推進)】
 用地取得に向けて、本年4月に用地測量説明会を開催し、7月から関係地権者と現地にて境界立会を実施している。
 その後、住宅や事業所のほか、多くの農地所有者が代替地の取得を希望しているため、個別にあっせん仲介を行ったり、相談会を開催して希望者へ情報提供するなど、対応をしている。
 このように交渉が円滑に進むように準備しており、今月から本格的な交渉に着手する予定である。
 関係者が多く、課題もあるが、いつ起こるか分からない南海トラフ地震に備えるための重要な拠点であり、早期に取得できるよう豊山町、小牧市とも連携し、職員一丸となって全力で取り組んでいく。

【朝倉浩一委員】
 先日、災害時に県内市町村の被害状況の把握や県への各種要請に対応するために設置される災害対策本部室や災害情報センターを見学し、説明を受けた。  本県の基幹的広域防災拠点が大規模災害時に全国からの救出救助人員や緊急支援物資等を円滑に受入れ、県内全域の災害応急活動を後方支援する役割を果たす以上、県庁の災害情報センターと同等の被害状況等を把握できる機能が必要と考えるが、その点についてはどう考えるか。

【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
 県では、県や市町村、防災関係機関における防災行政情報の円滑かつ効率的な通信を確保するため、県独自の通信基盤である高度情報通信ネットワークを県庁や市町村の役場等に整備している。
 この高度情報通信ネットワークは、地上系無線と衛星系無線の二重化を図り、災害時に強いネットワークとして2002年12月から運用をしているが、2027年までに新たな衛星通信規格への移行が必要となるほか、運用開始から20年が経過し、設備の老朽化が進んでいることなどから、増大するデータ通信量に対応した新たなネットワーク整備を進めている。
 現在整備を進めている愛知県基幹的広域防災拠点にも、このネットワークを整備する方向で現在基本設計を行っており、県庁の災害情報センターと同様に各市町村の被害の状況や各種応援要請に関する情報を直接収集することが可能となる予定である。

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