令和5年総務企画委員会 2023年10月12日

【朝倉浩一委員】
 まず、指定避難所と任意の自主避難所との連携について伺う。
 東日本大震災から12年が経過し、一部で風化が指摘されている。2016年4月14日と16日に発生した熊本地震では、子供が泣いたら迷惑になる、感染症が怖いなどの理由から避難所を避けて屋外のテントや車中で過ごした人は少なくなかった。その後も西日本集中豪雨、北海道地震と自然災害が相次ぎ発生しており、さらに、南海トラフ地震が起きることは確かである。
 熊本地震の際に、ボランティアに行った人に話を聞くと、熊本県内では、ピーク時で約900か所の避難所が開設、18万人を超える住民が避難し、避難所生活は最長7か月続いた。この中に自主避難、在宅避難者は反映されていないが、そのときの自主避難所はピーク時で700か所あったとのことである。
 今回は、災害時の妊婦、乳幼児、子供、女性に特化して質問したいと思う。
 私は2016年に福祉避難所について質問したが、その後、福祉避難所の指定はどれくらい進んだのか。

【災害対策課担当課長(調整・支援)】
 福祉局によると、2022年10月末の時点で本県の福祉避難所は1,064か所で、2016年と比べ約3割増加しており、その内訳は、高齢者施設が603か所、障害者施設が236か所、児童福祉施設が96か所などとなっている。

【朝倉浩一委員】
 ここで、一般社団法人こども女性ネット東海を紹介したい。
 子供と女性の人材育成に努め、子供と女性の主体的な参画と多様で多彩な主催者による連携協力により、新たな地域防災で中核を担う女性リーダーを醸成していくという目的で設置された女性の団体である。現在は、防災女性リーダーが50人を超える大きな団体になっている。
 熊本地震発生後、本来であれば福祉避難所に避難するが、私設避難所として地域の方に開放された保育園などの保育者がいる避難所は、園に通う子供とその家族だけではなく、地域の人の心の支えになったとのことである。
 熊本震災10か月後の熊本県の調査によると、夜泣きが増えた、暗い場所を怖がるなど、親子の55パーセントに精神的影響があった。災害時に見落としやすい妊婦、乳幼児、女性の命を守るには、不安な災害時に安心して身を寄せられる任意の自主避難所が大変重要だと思う。
 また、任意の避難所をつくることも重要であるが、女性目線からの気づきのためには女性の防災リーダーの育成も重要と考えるが、どう進めていくのか。

【防災危機管理課担当課長(政策・啓発)】
 女性目線からの気づきのためには、女性の防災リーダーの育成は重要である。
 国が2020年5月に策定した災害対応力を強化する女性の視点、男女共同参画の視点からの防災復興ガイドラインでは、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分配慮された女性の視点から災害対応を行うことが、防災や減災、災害に強い社会の実現にとって必須とされている。
 このため、本県では、防災・減災カレッジにおいて、避難所運営に女性目線を取り入れることの重要性に触れ、実際に女性が中心となった自主防災組織の代表者に事例紹介を行ってもらっている。
 また、防災リーダーの育成に関しては、自主防災組織の指導的立場にある人を対象とした自主防災組織リーダー研修会を一般財団法人日本防火・防災協会と共催で行っている。
 今後も、女性防災リーダーの育成や女性目線からの気づきに着目した研修内容となるように検討し、強化していく。

【朝倉浩一委員】
 こども女性ネット東海に関わる任意の避難所は、現在、愛知県と岐阜県、三重県で23か所あるとのことである。市町村の指定避難所を補完するこうした避難所は必要だと思うが、避難所指定がされていないことから、いざというときにここで避難生活を送る人たちが取り残されると心配している。
 そこで、県としてどのように任意の避難所を支援していくのか。

【災害対策課担当課長(調整・支援)】
 災害時に被災した住民には市町村が指定する避難所に避難してもらうことが原則である。
 しかしながら、大規模災害時には、熊本地震の事例のように、避難所の施設面の問題や他の避難者との関係などの理由から、市町村の避難所に指定されていない場所での避難生活を余儀なくされる被災者もいると想定される。
 県では、このような避難所以外の場所への避難者に対しても、愛知県避難所運営マニュアルにおいて食料、情報などの支援を行うこととし、市町村と共有している。
 発災時の円滑な対応のためには、避難所以外の場所への避難を計画する団体と市町村、地域の自治会などが平時から意見交換を通じて共通の認識を持っておくことが大切である。
 このため、市町村関係団体、県の関係部局と連携して情報の共有に努めるとともに、市町村防災担当課長会議で事例を紹介するなどして、災害時に被災者が取り残されることのないよう市町村の取組を支援していく。

【朝倉浩一委員】
 一般社団法人こども女性ネット東海の活動は、女性リーダーを醸成することを含めて任意の避難所支援とネットワークづくりをしている。緊急時、災害時、声を上げにくい妊婦、乳幼児、子供、女性の命を守るため、日頃より防災、減災の活動と助かる、助ける活動を行っている。高齢者、障害者、LGBTなどの人々が安心できる任意の小規模な避難所があればどんなに安心できるか、との話も聞いている。
 愛知県避難所運営マニュアルの六つの基本方針の中に、避難所は地域や市町村災害対策本部と連携し、避難所以外の場所に滞在する被災者へも支援を提供する拠点として機能することを目指しますと書いてあった。愛知県がこういった団体を支援していけば、災害時に伴走支援ができる団体がもっと増えると思うので、それも考慮して進めてほしい。

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