令和5年総務企画委員会 2023年12月13日

【朝倉浩一委員】
 2004年に犯罪被害者等基本法が成立して20年の節目を迎えようとしている。これまで国で4次にわたる犯罪被害者等基本計画が策定され、国や自治体、関係機関等の連携、協力の下、犯罪被害者等への支援施策が進められてきた。
 県も、昨年4月に犯罪被害者等支援の特化条例である愛知県犯罪被害者等支援条例を施行するとともに、本年3月には条例に基づく愛知県犯罪被害者等の支援に関する指針を策定し、犯罪被害者等支援施策の充実、強化に向けた取組が進められている。
 そこで、この指針に基づき犯罪被害者等支援の取組をどう進めているのか伺う。

【県民安全課担当課長(県民安全)】
 本年3月に策定した犯罪被害者等の支援に関する指針では、犯罪被害者等に対する支援フローの確立、多岐にわたる支援ニーズへの対応、社会全体で犯罪被害者等を支える機運の醸成の三つの施策の柱に沿って支援施策を実施していく。
 まず、犯罪被害者等に対する支援フローの確立は、県警察本部が事務局を務める愛知県被害者支援連絡協議会を通じ、国、市町村、民間支援団体等と相互に連携、協力を行うとともに、各機関の支援内容と相談窓口について整理した犯罪被害者支援ハンドブックあいちを毎年作成している。
 さらに、今年度から県庁内における情報共有と支援体制の構築を進めるため、愛知県犯罪被害者等支援推進のための連絡会議を新たに設置し、総合的対応窓口など、より望ましい支援体制の在り方について検討している。
 次に、多岐にわたる支援ニーズへの対応についてでは、犯罪被害者等の経済的負担の軽減を図るため、2021年度から運用している犯罪被害者等見舞金、犯罪被害遺児支援金、犯罪被害者等再提訴費用助成金に加えて、今年度から新たに犯罪被害者等法律相談費用助成金と犯罪被害者等転居費用助成金を創設し、支援の充実を図った。
 最後に、社会全体で犯罪被害者等を支える機運の醸成については、県民に犯罪被害の実態について理解を深めてもらうため、犯罪被害者団体と連携してパネル展や講演会を開催したほか、県政お届け講座のテーマとして、犯罪被害者等支援を今年度新たに開設した。
 こうした指針に基づく取組の状況をフォローアップするため、犯罪被害者当事者団体や学識経験者等で構成する愛知県犯罪被害者等支援懇話会を新たに設置し、懇話会の助言も受けながらこうした取組を着実に進めていく。

【朝倉浩一委員】
 充実した取組が進められていることが分かったが、県内市町村の状況を見ると、特化条例を制定しているのは、名古屋市、知多市、大府市及び今年9月に制定した東海市の4市にとどまっている。
 犯罪被害に遭った人が県内のどの市町村に居住していても必要な支援が受けられるようにするためには、特化条例の制定や相談対応窓口の充実など、市町村においても犯罪被害者等支援のために取組を進めていくことが大変重要だと思うが、市町村における犯罪被害者等支援が推進されるよう県としてどう取り組んでいるのか。

【県民安全課担当課長(県民安全)】
 犯罪被害者等の支援に関する指針では、推進体制の一つとして、市町村と推進体制の整備を位置づけており、本年度、市町村犯罪被害者等支援施策担当課室長会議を新たに開催し、犯罪被害者の置かれている状況や特化条例制定の意義について犯罪被害者からの講演なども行いながら理解を深めてもらった。さらに、市町村の担当者向け研修会では、想定事例を用いて犯罪被害者の相談に対応するグループワークを今年度から実施するなど、より実践的な内容に改善している。
 こうした取組のほか、特化条例の制定や見舞金等の支援制度に関する市町村からの個別相談に対しても必要な助言等を行っている。市町村における犯罪被害者等支援が推進されるよう、今後もこうした取組を進める。

【朝倉浩一委員】
 半田市の、9月定例議会で民主会派の議員が、半田市が実施している犯罪被害者等の支援策についての在り方、また、県内で特化条例を制定しているのは4市であり、他県と比べて遅れていること、再犯防止の観点からも犯罪被害者を支援する条例を制定し、支援していくべきと思うが、市の見解を伺うと質問した。
 答弁は、ホームページで被害者相談の問合せ窓口は掲載しているが、市独自の犯罪被害者への支援がないこと、犯罪被害者等基本法では、国との適切な役割分担を踏まえれば、地域の状況に応じた政策を策定し、実施する責務を地方公共団体が有する旨、記載されているが、半田市は、国の支援内容とその状況、実績を把握した上で、市の犯罪被害の状況を勘案し、必要な支援策とそれに伴う条例について検討していくと、前向きなものであった。
 このように様々な形で、関係自治体に対して犯罪被害者の支援の取組を促していくため、再犯防止の観点からも罪を犯した人が社会の構成員として円滑に社会復帰でき、安全・安心なまちづくりを促進するため、再犯防止推進計画について、これまで以上に積極的に取組むよう要望する。

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