令和5年総務企画委員会 2023年12月14日

【朝倉浩一委員】
 生成AIの業務での利用について伺う。
 昨今、チャットGPTをはじめとする生成AIが注目されている。生成AIはコンピューターが事前学習した膨大なデータを活用して、ユーザーが入力した質問に対して自然な形で応答を生成するため、企業等においては生成AIの活用が様々な分野で広がっていると認識している。
 また、行政分野でも、横須賀市をはじめとした自治体において既に生成AIを業務に取り入れ、業務の効率化を図る取組が始められていると聞いている。私も横須賀市を訪れ、視察をして説明を聞いてきた。
 本県においては、11月7日に生成AIの利用に関するガイドラインが策定され、今後業務利用を進めていく方針が示された。そこで、生成AIの庁内での利用について伺う。
 まず、生成AIの利用に関するガイドラインの策定までの経緯や、本県のガイドラインの特徴を伺う。

【DX推進室担当課長(DX推進)】
 まず、生成AIガイドライン策定までの経緯についてである。生成AIはオフィスワークにおける業務への活用が期待できることから、本年6月に知事を本部長とする愛知県DX推進本部内に情報通信政策推進監をリーダーとする生成AI活用検討チームを立ち上げた。その後、本チームにおいてチャットGPT等の生成AIを試験的に利用して、庁内における利活用について検討を行い、その検討結果を踏まえ推奨する活用例や職員が利用する際の条件や禁止事項等を整理したガイドラインを策定した。
 本県のガイドラインの特徴は2点ある。1点目は、生成AIの活用方策を前段に記載して、生成AIを活用していく姿勢を明確に示している点である。2点目は、名古屋市と意見交換しながら検討を進め、利用に当たっての条件等の項目について、名古屋市のガイドラインと共通する内容とした部分である。  なお、県と政令市がガイドラインの共通化を図る取組は全国初である。また、このことは、県内市町村がガイドラインを策定する際の参考となる内容になっている。
【朝倉浩一委員】
 県職員が生成AIをどのような業務に活用することを想定、推奨しているのか。

【DX推進室担当課長(DX推進)】
 ガイドラインにおいては、アイデア創出や文書翻訳等の分野での活用を推奨している。特にアイデア創出については、生成AIの膨大な学習データを有効に活用することで施策の立案時等に、より多くの視座から検討することが可能になる。
 なお、生成AIの生成物には誤りが含まれている可能性があり、出力内容の事実確認を行う必要があるが、AIの生成する回答が100点でなく75点の回答であったとしても大幅な時間短縮、事務負担軽減につながると考えており、業務を支援し、業務の質を高める補助的なツールとして職員が利用することを想定している。
【朝倉浩一委員】
 私も生成AIの利用に関するガイドラインをしっかり読んだ。生成AIの活用に向けて今後どのように進めていくのか。

【DX推進室担当課長(DX推進)】
 生成AIの今後の活用についてであるが、生成AIの利用は入力内容の情報漏えいのリスクなどがあることから、ガイドライン策定までは検討チームのメンバー24人の試験利用に限定していた。ガイドラインの策定を経て12月を目途に利用可能な職員の対象を広げ、試験利用の規模を拡大できるように取り組み、今月11日から生成AIの試験利用を本庁所属の一部職員まで拡大している。
 なお、試験利用の拡大に当たっては、職員が安全に業務で生成AIを利用できるよう、ガイドラインに沿って職員が入出力した内容を記録する機能を有している生成AIサービスを利用している。また、職員が戸惑うことなく利用できるよう、生成AIの概要や有効な指示の仕方などを説明した動画を用意して試験利用を進めている。引き続き、ガイドラインに沿って情報漏えい等のリスクに留意し、ステップ・バイ・ステップで庁内の生成AI利用の取組を進めたい。

【朝倉浩一委員】
 それでは、最後に要望する。生成AIは業務の質の向上や効率化に大いに役立つ可能性を有しているが、入力した情報の情報漏えいやハルシネーションと呼ばれるAIの幻覚を見ているかのようにもっともらしいうそを出力するなど、危険性もはらんでいる。また、過度な依存により職員の事務能力の低下や能力向上の機会の喪失などの課題もある。
 こうした危険性や課題は、ガイドラインにおいて禁止事項や注意事項としてしっかり記載されており、また補助的なツールと位置づけ、業務の質を高める活用を推奨しているため、その点は安心している。本県における生成AIの業務利用はこれからだが、職員が生成AIの危険性や課題を理解した上で、業務で有効に活用できるよう研修等にしっかり取り組んでほしい。
 また、生成AIは我々の想像を超えて進化している。数か月前ではできないことが今はできるようになっている。こうしたスピードや変化についても十分に踏まえてほしい。私も一度生成AIを使用したところ非常にすばらしい文章ができたが、しっかり考えて柔軟に取り組んでいかなければならないと感じた。これからもこうしたことに留意するよう要望する。

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