令和6年2月定例会(第10号) 2024年3月25日

◯三十八番(朝倉浩一君)
 私は、あいち民主県議団を代表し、ただいま議題となっております第一号議案令和六年度愛知県一般会計予算に対して、賛成の立場から討論を行ってまいります。  昨年、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ五類に引き下げられ、社会経済活動の正常化が進む一方で、エネルギー価格や物価の高騰により、県民生活や中小企業、小規模事業者の負担感は高止まりしたままとなっています。また、経済や産業の構造変革が急激に進む中で、様々な産業において人手不足、人材確保が大きな課題となっており、誰一人取り残さない社会の実現のためには人への投資が求められております。
 こうした中、私たちあいち民主県議団は、最大の支援母体である連合愛知の組合員、日頃より連携している自治体議員や関係団体と積極的な意見交換を行い、その声に能動的かつ機動的に応えるため、重点事業等調査研究会や政策調査会、政策推進議員連盟などの調査研究活動を通じて、令和六年度施策及び当初予算に対する提言を取りまとめ、昨年十月に大村知事に提出するとともに、早期に対応を講じる必要がある項目について、本年一月に再度要望をさせていただきました。
 提言、要望の内容はいずれも重要なものばかりでありますが、この場ではその中から特に重点的に取り組むべきと考える五項目に絞り、今回提案されております当初予算案に対する評価を述べさせていただきます。
 まずは、大規模自然災害に備えた社会資本整備の推進についてであります。
 元日に発生した能登半島地震では、揺れによる建物の倒壊、津波や火災により、多数の貴い人命が失われるとともに、道路や水道をはじめとしたインフラに甚大な被害が発生し、救助活動や支援物資の輸送に大きく支障が生じました。被災地では一部で断水が続くなど、いまだ多くの方が不自由な生活を余儀なくされています。
 本県においても、南海トラフ地震の発生確率が今後三十年以内に七〇%から八〇%程度であると言われており、地震への備えは一刻の猶予もありません。さらには、局地的な豪雨による被害が繰り返し発生するなど、激甚化、頻発化する自然災害に備えるための取組を加速化、深化させていくことが必要であります。
 今回の予算案を見ますと、河川・海岸堤防の耐震化や、緊急輸送道路の整備推進など、インフラ機能の維持、強化に係る予算のほか、住宅、建築物の耐震化促進、災害拠点病院をはじめとする医療施設の整備支援など、県民の命や生活を守るための予算が計上されております。
 また、大規模災害時に県内全域の災害応急活動を後方支援する愛知県基幹的広域防災拠点やゼロメートル地帯における広域的な防災活動拠点の整備を着実に推進するとともに、災害時において、県や市町村、関係機関における防災行政情報の円滑かつ効率的な通信を確保するため、次世代高度情報通信ネットワークを整備するための予算も盛り込まれ、評価できるものとなっております。
 いつ発生するか分からない大規模自然災害から県民の生命、財産を守り、被害を防止または最小限に抑え、被災後も重要な社会機能を維持できるよう、着実な事業の推進に努めていただきたいと思います。
 二番目は、Aichi─Startup戦略及び革新事業創造戦略の推進についてであります。
 本県の産業、経済が歴史的転換点を迎えている現在、新たなビジネスチャンスを獲得し、新たな事業領域に転換していくことが求められています。
 本年十月にSTATION Aiの開業が予定される中、今後は、プレ・ステーションAiでの成果と課題を踏まえながら、スタートアップ支援体制の具体的な構築を図るとともに、海外スタートアップ支援機関、大学とのさらなる連携強化を推し進める必要があります。
 今回の予算案では、STATION AiをはじめとしたAichi─Startup戦略に基づく取組を強力に推進するための予算や、革新事業創造戦略に基づき、多様な主体からイノベーション創出に向けた提案を受け付けるプラットフォーム、A─IDEAの運営のほか、新たにドイツや韓国のスタートアップ支援機関、大学との連携を進める予算も盛り込まれ、高く評価できるものとなっております。
 このほか、さらなる愛知の発展のため、引き続き、国内外の関係機関との連携、ユニコーン企業創出に向けたディープテック系スタートアップに対する総合的な支援、農業、環境など様々な分野における課題解決や事業化支援など、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 三番目は、外国人観光客の県内観光消費喚起に向けた取組の推進についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響により減少していた訪日外国人数は、入国制限の解除に伴い急速に回復をしており、今後さらに増加することが見込まれています。本県においても、宿泊施設の確保や人手不足への対応など、外国人観光客の受入れ環境の整備を確実に推進するとともに、ジブリパークの全五エリア開園など、機会を捉えて愛知の魅力を発信し、県内の観光振興につなげる必要があります。
 今回の予算案を見てみますと、ジブリパークのある愛知の魅力発信として、国内外から訪れる多くの来場者を県内各地での宿泊や周遊観光に誘導するPRやプロモーションの実施をはじめ、武将、お城、街道のテーマを掛け合わせた歴史観光のPRや愛知の山車まつりの魅力発信、ハート・オブ・ジャパンのキャッチワードの下、外国人旅行者の趣向に合わせたコンテンツ発信のための予算が計上されております。また、海外の富裕層や個人旅行者をターゲットとした体験型コンテンツの造成支援や、販売のための仕組み構築など、県内全域の観光振興につながる取組が新たに盛り込まれ、大変評価できるものとなっております。
 二〇二六年のアジア・アジアパラ競技大会に向け、アジア各国からのインバウンド観光の促進が期待されております。本県の観光地としての魅力を発信し、国内外の多くの方に愛知の魅力を感じていただけるよう、取組を進められることを要望いたします。
 四番目は、少子化対策の推進についてであります。
 二〇二二年愛知県の人口動態統計の概況によれば、出生数は五万一千百五十二人と減少傾向が続き、現行統計制度となった一九四七年以降で最少となりました。また、合計特殊出生率は一・三五と、四年連続の低下となっています。
 今後の本県の継続的、安定的な発展を考える上で、少子化対策は先送りできない全庁横断的課題であります。妊娠、出産、子育てに関する様々な課題解決を通じて、少子化対策を強力に推進しなければなりません。
 今回の予算案では、妊婦、子育て家庭への経済的支援及び伴走型相談支援を行う市町村の取組の支援、本県独自に低所得世帯を対象とした応援給付金の支給といった取組のほか、子ども・子育て支援として地域型保育事業への給付や、潜在保育士の就職支援をはじめとした保育士確保のための予算が盛り込まれ、評価できるものとなっております。
 また、男性育児休業の取得促進は、男性がより積極的に家事、育児に参加し、子育てしやすい社会の実現を通じて、少子化対策に資するだけでなく、女性のキャリア形成や男女共同参画社会の実現にもつながる取組であります。今後も積極的に事業を進めていただくよう要望いたします。
 最後に、良好な教育環境の整備と教員の働き方改革の推進についてであります。
 いじめや不登校、外国人児童生徒への対応、ICT化の推進など、教育を取り巻く環境は大きく変化しております。それに合わせて必要とされる指導も多様化しており、教育現場では、児童生徒一人一人に向き合うことのできる少人数学級の実現や、それぞれの専門性に特化した人材を必要としています。
 今回の予算案には、三十五人学級を本県独自に小学校第六学年に拡充するとともに、フレキシブルハイスクールや夜間中学の開設に向けた施設整備、市町村が実施する休日の部活動の地域移行を進めるための実証事業、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充に関する予算が盛り込まれるなど、評価できるものとなっております。
 また、教員の多忙化解消に向けた取組や、正規教員の確実な配置のための新規採用者の確保等は、質の高い教育を持続的に行っていくための基盤であると言えます。
 さらに、近年の気温上昇などの異常気象への対応やラーケーションの日の円滑な実施など、教育現場における課題は増大しております。これらの課題に対して適切に対応し、子供たちによりよい教育を行うための取組を引き続き積極的に推進していただくよう要望いたします。
 以上、当初予算案のうち、我が団の提言から特に重点的に取り組むべき五項目を取り上げ、その評価を述べてまいりましたが、このほかに、中小企業、小規模事業者に対する継続的な伴走支援の推進、農林基盤施設の災害対策、老朽化対策、予防保全の推進、差別のない、人権尊重の社会づくり、あいちDX推進プラン二〇二五とICT利活用の推進など、県民、地域の声を基に知事に提言をいたしました各要望項目につきましても、予算措置の状況から評価できるものと考えております。
 第一号議案に対する討論の締めくくりに当たり、第二十回アジア競技大会、第五回アジアパラ競技大会の推進について、一言申し上げます。
 二〇二六年に開催予定のアジア・アジアパラ競技大会は、アジア最大のスポーツの祭典であります。さきに申し上げましたとおり、国内外から多くの人を呼び込むビッグイベントであることに加え、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックによるスポーツへの関心の高まりを引き継ぐ、日本のスポーツ界の大きな目標です。開催まで二年余りとなりましたが、大会の成功に向けた開催準備を進めるとともに、両大会がこの地域の活性化やさらなるスポーツ文化の普及につながるよう、着実に取組を進める必要があります。
 まずは、アスリートファーストの視点で、最高のパフォーマンスを発揮できる舞台づくりや、安全・安心な競技環境の提供等を適切に推進するとともに、県民に向けた開催機運醸成のための取組、競技会場となる市町村の施設整備や宿泊施設が行うバリアフリー整備への支援など確実に推進されるよう要望いたします。
 本県の財政運営は、好調な企業業績を反映した法人二税の増加等が見込まれる一方、医療、介護、子育て等の扶助費が大きく増加することなどにより、今回も一千二百八十九億円の収支不足が見込まれる中での予算編成でありました。そうした状況の中においても、必要な予算を適切に計上されたことにつきましては高く評価をさせていただくものであります。
 ウイズコロナ、アフターコロナの時代にあって、本県は日本の成長エンジンとなり、将来にわたって我が国の発展を力強くリードしていかなければなりません。大村知事におかれましては、公約である日本一元気な愛知の実現に向け、日本の未来をつくるビッグプロジェクトを着実に推進するとともに、誰一人取り残すことなく、全ての県民が豊かさを実感できる社会の実現に向け引き続き邁進していただくよう我々あいち民主県議団としても大いに期待するところであります。
 以上、第一号議案令和六年度愛知県一般会計予算につきまして、賛成の理由を述べてまいりました。
 皆様方の満場の御賛同をいただきますようお願いし、私の賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。

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