令和6年建設委員会 2024年6月26日
【朝倉浩一委員】
県営住宅は県内に295団地あり、約4万4,000世帯が住んでいる。先日、各議員に2024年度第1回新設県営住宅募集案内書と2024年度第2回常時募集の県営住宅入居申込案内書が届いたと思われる。
それぞれの入居者の募集内容はどのようなものか、また、抽せん募集の応募倍率はどのくらいか伺う。
【県営住宅管理室担当課長(県営住宅)】
県営住宅の入居者募集については、抽せんにより入居者を決定する抽せん募集と、先着順に受付する常時募集がある。抽せん募集は、県営住宅を建て替えた際に、建て替えに伴う移転者用以外の住戸を新設住宅として募集するものと、既設の住宅において、入居者の退去により空が生じた住戸を年3回募集するものがある。
なお、既設の住宅で抽せん募集とするものは、築年数が浅い、立地や利便性がよいなど、入居を希望する人が多いと見込まれる住宅としている。一方で、建設から年数がたち、エレベーターがないなどで空きが生じている住宅は、常時募集として年3回募集を行っている。
抽せん募集の応募倍率については、2023年度は新設住宅で57戸の募集を行い、295人の応募があり、応募倍率は5.2倍となっている。また、既設住宅は1,520戸を募集し、応募者数は5,948人あり、応募倍率は3.9倍であった。
【朝倉浩一委員】
県営住宅の抽せん募集の倍率は、新設の住宅では5倍以上、既設の住宅でも4倍近くあり、県営住宅の役割は大きいと感じている。
県営住宅は公営住宅法に基づき建設された公営住宅であるが、県営住宅の役割は時代によって変遷してきた。法律が制定されたのは戦後の復興期で、戦争によって多くの住宅が消失し、国民は住宅を必要としていた。また、高度成長期には都市部を中心に住宅不足が深刻な問題となり、多くの住宅を供給するため県営住宅が多数建設されたと聞いている。
そして、平成8年の法改正によって本当に住宅に困っている所得の低い人へ、低廉な家賃で提供する仕組みとして、家賃の決定方式が入居世帯の収入による負担能力と住宅の立地条件、部屋の広さ、築年数など住宅から受ける便益に応じて家賃を決定する、いわゆる応能応益方式に変更されるなど、公営住宅制度の見直しがされた。
県営住宅に入居できる人の資格は、申込案内書にも示されているが、その一つとして入居収入基準があり、高齢者世帯や心身障害者世帯などは、裁量階層として世帯の収入が所得月額21万4,000円以下、本来の入居階層である世帯は、原則階層として所得月額15万8,000円以下となっている。
家賃の算定は所得月額が10万4,000円以下を第一分位、12万3,000円以下を第二分位など、入居者の所得月額に応じて区分し、区分ごとに定められている家賃算定基礎額に住宅の地域、部屋の専用床面積、建設からの経過年数などからなる応益係数を掛けて家賃を算定しており、同じ住宅、同じ棟、同じ間取りであれば入居者の収入に応じた家賃となる。
県営住宅には約4万4,000世帯が入居しており、当然、それぞれの入居者の収入は違い、一番所得が低い人の区分、第一分位は所得月額が10万4,000円以下の人になるが、この中には全く収入のない人も含まれている。
そこで、特に収入が低い人などへ補助などの制度はあるのか。また、制度がある場合、制度の適用を受けている人はどのくらいいるのか伺う。
【県営住宅管理室担当課長(県営住宅)】
県営住宅に入居する人のうち、特に収入が低い人へは家賃の減免・減額制度を設けている。具体的には入居者の所得月額が2万6,000円以下の場合には50パーセントを、5万2,000円以下は30パーセントを、高齢者などで7万8,000円以下の人は10パーセントを、それぞれ家賃から減免・減額している。2023年度において家賃の減免・減額を行った世帯は、延べ1万9,146世帯あり、このうち8割以上となる1万5,860世帯が50パーセントの家賃減免となっている。
【朝倉浩一委員】
全体の4割を超す1万9,000以上の世帯が家賃の減免を受けているとのことだが、入居後、子どもの就職などにより入居したときから大きく収入が上がり、収入の基準を超えてしまった入居者もいると思われる。案内書を見ると、入居後3年を経過し、所得月額を超えた入居者は収入超過者となり、民間賃貸住宅並みの市場家賃である近傍同種家賃になる場合がある。また、入居後5年を経過している入居者が高額所得者に決定された場合は、住宅の明渡し請求をすることがあると記載をされている。
現在、基準を超す収入がある入居者はどれくらいいるのか。また、そうした人に対してはどのような対応を行っているのか伺う。
【県営住宅管理室担当課長(県営住宅)】
県営住宅に入居している人は、毎年世帯収入を申告することとなっている。3年以上県営住宅に入居している人で、申告した収入に基づく所得月額が収入基準を超える場合は収入超過者となり、2023年度における収入超過者は5,368世帯であった。
また、5年以上入居し、2年連続で所得月額が31万3,000円を超えている場合には高額所得者となり、2023年度における高額所得者は274世帯であった。収入超過者、高額所得者になった場合は、公営住宅法施行令に定める算定方法による額を上限に、その人の所得月額に応じた家賃を負担してもらうこととなる。
また、原則として収入超過者には住宅の明渡し努力義務を、高額所得者には住宅の明渡しを求めることとなる。
【朝倉浩一委員】
基準を超える収入がある世帯が一定数あるが、収入超過者の中には近年の賃金上昇によって収入超過者になった人もいると思う。しかし、物価の上昇に賃金が追いついていないことが現実であり、実際の生活は以前よりも苦しくなっている人もいると思う。県営住宅の収入基準の見直しが行われれば、こうした収入超過者は努力義務であっても、住宅から出ていくことが求められる。
公営住宅の入居者の収入基準は国が定めていることは承知しているが、現状に合わせて収入基準も見直すべきときが来たのではないか。賃金の上昇を受けて国では収入基準の見直しの検討は進められているのか。
【県営住宅管理室担当課長(県営住宅)】
公営住宅の収入基準は、公営住宅法施行令で定める金額を参酌するよう公営住宅法で定められている。公営住宅法施行令で定める金額は、国民の所得水準等の統計データを踏まえ、1996年、平成8年の公営住宅法改正時においては20万円とされていたが、平成21年4月からは、これを15万8,000円とする改定が行われた。公営住宅法を所管する国土交通省に、公営住宅法施行令で定める金額の改定について確認したところ、現時点においては収入基準の見直しについての情報は得られなかった。
【朝倉浩一委員】
賃金が上がったとしても、それ以上に物価が高騰しており、生活が苦しくなる一方である。少し前までは基準以内であった賃金が上がっただけで住宅を明け渡さなければならない、また、生活は何ら変わらず苦しいが県営住宅に入居できないなど、収入基準の見直しが行われなければ、こうした人がどんどん増えてくる。
他県も同様のことが起きてくると考えるため、本県から声を上げて、国に対して基準の見直しを図るよう働きかけてほしい。
県営住宅は県内に295団地あり、約4万4,000世帯が住んでいる。先日、各議員に2024年度第1回新設県営住宅募集案内書と2024年度第2回常時募集の県営住宅入居申込案内書が届いたと思われる。
それぞれの入居者の募集内容はどのようなものか、また、抽せん募集の応募倍率はどのくらいか伺う。
【県営住宅管理室担当課長(県営住宅)】
県営住宅の入居者募集については、抽せんにより入居者を決定する抽せん募集と、先着順に受付する常時募集がある。抽せん募集は、県営住宅を建て替えた際に、建て替えに伴う移転者用以外の住戸を新設住宅として募集するものと、既設の住宅において、入居者の退去により空が生じた住戸を年3回募集するものがある。
なお、既設の住宅で抽せん募集とするものは、築年数が浅い、立地や利便性がよいなど、入居を希望する人が多いと見込まれる住宅としている。一方で、建設から年数がたち、エレベーターがないなどで空きが生じている住宅は、常時募集として年3回募集を行っている。
抽せん募集の応募倍率については、2023年度は新設住宅で57戸の募集を行い、295人の応募があり、応募倍率は5.2倍となっている。また、既設住宅は1,520戸を募集し、応募者数は5,948人あり、応募倍率は3.9倍であった。
【朝倉浩一委員】
県営住宅の抽せん募集の倍率は、新設の住宅では5倍以上、既設の住宅でも4倍近くあり、県営住宅の役割は大きいと感じている。
県営住宅は公営住宅法に基づき建設された公営住宅であるが、県営住宅の役割は時代によって変遷してきた。法律が制定されたのは戦後の復興期で、戦争によって多くの住宅が消失し、国民は住宅を必要としていた。また、高度成長期には都市部を中心に住宅不足が深刻な問題となり、多くの住宅を供給するため県営住宅が多数建設されたと聞いている。
そして、平成8年の法改正によって本当に住宅に困っている所得の低い人へ、低廉な家賃で提供する仕組みとして、家賃の決定方式が入居世帯の収入による負担能力と住宅の立地条件、部屋の広さ、築年数など住宅から受ける便益に応じて家賃を決定する、いわゆる応能応益方式に変更されるなど、公営住宅制度の見直しがされた。
県営住宅に入居できる人の資格は、申込案内書にも示されているが、その一つとして入居収入基準があり、高齢者世帯や心身障害者世帯などは、裁量階層として世帯の収入が所得月額21万4,000円以下、本来の入居階層である世帯は、原則階層として所得月額15万8,000円以下となっている。
家賃の算定は所得月額が10万4,000円以下を第一分位、12万3,000円以下を第二分位など、入居者の所得月額に応じて区分し、区分ごとに定められている家賃算定基礎額に住宅の地域、部屋の専用床面積、建設からの経過年数などからなる応益係数を掛けて家賃を算定しており、同じ住宅、同じ棟、同じ間取りであれば入居者の収入に応じた家賃となる。
県営住宅には約4万4,000世帯が入居しており、当然、それぞれの入居者の収入は違い、一番所得が低い人の区分、第一分位は所得月額が10万4,000円以下の人になるが、この中には全く収入のない人も含まれている。
そこで、特に収入が低い人などへ補助などの制度はあるのか。また、制度がある場合、制度の適用を受けている人はどのくらいいるのか伺う。
【県営住宅管理室担当課長(県営住宅)】
県営住宅に入居する人のうち、特に収入が低い人へは家賃の減免・減額制度を設けている。具体的には入居者の所得月額が2万6,000円以下の場合には50パーセントを、5万2,000円以下は30パーセントを、高齢者などで7万8,000円以下の人は10パーセントを、それぞれ家賃から減免・減額している。2023年度において家賃の減免・減額を行った世帯は、延べ1万9,146世帯あり、このうち8割以上となる1万5,860世帯が50パーセントの家賃減免となっている。
【朝倉浩一委員】
全体の4割を超す1万9,000以上の世帯が家賃の減免を受けているとのことだが、入居後、子どもの就職などにより入居したときから大きく収入が上がり、収入の基準を超えてしまった入居者もいると思われる。案内書を見ると、入居後3年を経過し、所得月額を超えた入居者は収入超過者となり、民間賃貸住宅並みの市場家賃である近傍同種家賃になる場合がある。また、入居後5年を経過している入居者が高額所得者に決定された場合は、住宅の明渡し請求をすることがあると記載をされている。
現在、基準を超す収入がある入居者はどれくらいいるのか。また、そうした人に対してはどのような対応を行っているのか伺う。
【県営住宅管理室担当課長(県営住宅)】
県営住宅に入居している人は、毎年世帯収入を申告することとなっている。3年以上県営住宅に入居している人で、申告した収入に基づく所得月額が収入基準を超える場合は収入超過者となり、2023年度における収入超過者は5,368世帯であった。
また、5年以上入居し、2年連続で所得月額が31万3,000円を超えている場合には高額所得者となり、2023年度における高額所得者は274世帯であった。収入超過者、高額所得者になった場合は、公営住宅法施行令に定める算定方法による額を上限に、その人の所得月額に応じた家賃を負担してもらうこととなる。
また、原則として収入超過者には住宅の明渡し努力義務を、高額所得者には住宅の明渡しを求めることとなる。
【朝倉浩一委員】
基準を超える収入がある世帯が一定数あるが、収入超過者の中には近年の賃金上昇によって収入超過者になった人もいると思う。しかし、物価の上昇に賃金が追いついていないことが現実であり、実際の生活は以前よりも苦しくなっている人もいると思う。県営住宅の収入基準の見直しが行われれば、こうした収入超過者は努力義務であっても、住宅から出ていくことが求められる。
公営住宅の入居者の収入基準は国が定めていることは承知しているが、現状に合わせて収入基準も見直すべきときが来たのではないか。賃金の上昇を受けて国では収入基準の見直しの検討は進められているのか。
【県営住宅管理室担当課長(県営住宅)】
公営住宅の収入基準は、公営住宅法施行令で定める金額を参酌するよう公営住宅法で定められている。公営住宅法施行令で定める金額は、国民の所得水準等の統計データを踏まえ、1996年、平成8年の公営住宅法改正時においては20万円とされていたが、平成21年4月からは、これを15万8,000円とする改定が行われた。公営住宅法を所管する国土交通省に、公営住宅法施行令で定める金額の改定について確認したところ、現時点においては収入基準の見直しについての情報は得られなかった。
【朝倉浩一委員】
賃金が上がったとしても、それ以上に物価が高騰しており、生活が苦しくなる一方である。少し前までは基準以内であった賃金が上がっただけで住宅を明け渡さなければならない、また、生活は何ら変わらず苦しいが県営住宅に入居できないなど、収入基準の見直しが行われなければ、こうした人がどんどん増えてくる。
他県も同様のことが起きてくると考えるため、本県から声を上げて、国に対して基準の見直しを図るよう働きかけてほしい。