

令和7年2月定例会(第5号) 2025年3月3日
◯三十八番(朝倉浩一君)
議長にお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
最初に、子供を特殊詐欺に巻き込まないような取組について伺います。
令和六年版警察白書によりますと、令和五年一月に東京狛江市で発生した強盗殺人事件をはじめとして、広域的に強盗等事件が発生し、国民に大きな不安を与えました。これらの犯罪を敢行したのは、SNSや求人サイト等を利用して募集された実行犯らであり、匿名性の高い通信手段を活用しながら、指示役等と連絡を取り合っている実態が見られました。
また、深刻な情勢にある特殊詐欺についても、同様の特徴を持つ犯罪グループが広域的に敢行している実態が次第に明らかになりました。このような集団は、多様な資金獲得活動により得た収益を吸い上げる中核部分が匿名化されているという点、SNSや求人サイトを通じるなどして緩やかに結びついたメンバー同士が役割を細分化させ、その都度メンバーを入れ替えながら、多様な資金獲得活動を行うという点で、従来の犯罪組織とは全く異なっているということです。
このような情勢を踏まえ、警察ではこうした特徴を有する集団を匿名・流動型犯罪グループとして位置づけたところであります。以後、トクリュウと申し上げます。
トクリュウは、特殊詐欺をはじめ、様々な犯罪により資金を獲得しているということが見られます。警察ではこうした多様な資金獲得活動に着目した取締りにより、同グループに対して効果的に打撃を与えるとともに、組織的犯罪処罰法等の積極的な適用により犯罪収益の剥奪を推進しております。
令和六年四月から五月までの間におけるトクリュウによるものと見られる資金獲得犯罪について、主な資金獲得犯罪の検挙人員五百八人を罪種別に見ると、詐欺が二百八十九人、強盗が三十四人、窃盗が百三人となっており、トクリュウが詐欺を主な資金源としている状況がうかがわれます。
また、令和六年四月から五月までの間におけるトクリュウによるものと見られる主な資金獲得犯罪の検挙人員のうち、SNSでの犯罪実行者募集情報に応募する形で犯行に関与した者は百五十五人と全体の三〇・五%を占めていることも大変驚くところであります。
令和五年中の特殊詐欺の認知件数は一万九千三十八件、被害額は約四百五十三億円と、認知件数は三年連続、被害額は二年連続で増加し、高齢者を中心に多額の被害が生じており、依然として深刻な情勢にあります。
特殊詐欺で検挙された暴力団構成員等の割合から、暴力団が特殊詐欺を主要な資金源としている実態がうかがわれている一方、近年はトクリュウによるものと見られる特殊詐欺が広域的に行われている状況が見られます。
特殊詐欺を実行するトクリュウは、SNS等で高額な報酬を載せて受け子等を募集し、犯行に加担させるなどしているようです。また、首謀者、指示役、実行役の間の連絡手段には、匿名性が高く、メッセージが自動的に消去される仕組みを備えた通信手段を使用するなど、犯罪の証拠を隠滅しようとする手口が多く見られていることです。
昨年二月定例議会の一般質問で、SNSを悪用した犯罪対策について質問をさせていただきました際に、県警として若者がSNSを通じて安易に特殊詐欺の犯行に加担する実行犯を生まないための取組について、SNS上の有害投稿に対し、警告、注意喚起等をより迅速かつ効率的に行うため、これまで手動で行っていたリプライ警告を自動化するシステムの導入を検討する。そして、引き続き関係機関と連携を図り、若者がSNSを通じて安易に特殊詐欺へ加担しないための取組を推進していくと答弁をいただきました。
トクリュウによる犯罪を防止するためには、組織の実態解明や犯人の検挙には警察に期待をするところでありますが、実行犯がいなければトクリュウは成立しないと考えます。特殊詐欺では、三十代未満が七割以上、警察庁の二〇二三年の統計では四百三十一人の少年が検挙され、このうち七割以上が受け子でありました。そのため、青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させないよう、啓発の強化が必要であるのではないかと思われます。
二〇二四年、半田市において実施をされました半田中学校キャリア教育の取組について御紹介をさせていただきます。半田中学校のキャリア教育では、地域のボランティア活動や地元企業が抱えている社会問題について知り、その解決に向けた話合いを行っております。
半田市教育委員会としても、キャリア教育を通じて、児童生徒が地域住民や地元企業等と連携をし、地域に貢献しようとする意欲が生まれるように努めています。
令和五年度、第一学年のキャリア学習協力企業等の中から半田警察署を選んだ生徒のグループが、半田警察署から闇バイトへの加担防止及び特殊詐欺被害防止に関する取組や課題について知りました。
半田警察署担当グループの生徒は、その課題に対する解決策を考え、施策を提言いたしました。
その内容の一つは、特殊詐欺防止対策です。特殊詐欺防止対策のポスターを作成し、掲示して広く市民に知ってもらうと同時に、CMとティックトック用のショート動画を作成し、世界中の人に知ってもらうことでした。
二つ目は、闇バイトへの加担防止対策です。闇バイトへの加担防止対策のポスターを作成し、掲示して市民に広く知ってもらう。また、八月三日を闇とかけて闇バイト加担防止の日に制定し、市民が犯罪を犯さない機運を高める機会にするとのことでした。
これを受けて半田警察署は、中学生からの提言を有効性が認められる施策として実現することが決定をいたしました。
実際に中学生からの提言に基づく取組を紹介いたします。
一つ目は、ポスターコンクールの実施です。半田市内の中学生を応募対象にして、特殊詐欺被害防止及び闇バイトへの加担防止をテーマとしたポスターを募集し、それぞれのテーマで最優秀作品を選出して広報用ポスターを作成し、これを掲示することです。
ショート動画の制作は、半田中学校の生徒による動画制作委員会に動画制作を依頼し、制作した動画をデジタルサイネージを保有する半田市内の企業等に協力依頼し、完成した動画を再生して広報することです。
続いてキャンペーン活動の実施です。闇バイト加担防止の日を八月三日に制定し、その日にポスターコンクールの表彰、ショート動画のお披露目を行い、それぞれの機関と連携した闇バイト加担防止に関するキャンペーンを実施いたしました。
実際に私もキャンペーンに参加しましたが、感心したのは、半田警察署が関係機関である半田市、半田市教育委員会、半田防犯協会連合会、東知多少年補導委員会、保護司会及び少年サポート委員会に対し、連携し、協力してきたことです。
議長にお許しをいただきましたので、本日、最優秀作品をポスターにし、半田署管内の学校、役場等において掲示しているポスターと入賞作品を紹介するポスターカレンダーを持ってまいりましたのでお見せいたします。
〔パネル図を示す〕
まず、これが半田市長賞であります。半田市長賞です。見えないですか、すみません。三つあるのでちょっと。
〔パネル図を示す〕
それから、これは半田警察署長賞ですね。これはみんな中学生が描いたんですね。よろしいですか。
〔パネル図を示す〕
それから、これが半田警察署が作った闇バイト、特殊詐欺のカレンダーです。カレンダーです。以上です。
半田警察署を含め、各種防止活動に参加した中学生の子供たちの声ですが、貢献できてうれしい、私たち自らが犯罪に対して意識を持てるようになったなどでした。
このように、広域的に行われる特殊詐欺に対して、警察が様々な関係機関と連携し、子供が当事者にならないような啓発活動に取り組むことは大変重要であり、教育委員会の役割が大切であると考えます。
そこで、子供を特殊詐欺に巻き込まないように、県教育委員会としてどのように取り組んでいかれるのかを伺います。
続きまして、マイナンバーカードと運転免許証の一体化について伺います。
今年三月二十四日からマイナンバーカードと運転免許証の一体化、いわゆるマイナ免許証が導入をされます。健康保険証は昨年十二月二日から新規発行が停止され、マイナカードを利用することが基本になりましたが、今交付されている運転免許証は廃止されず、継続して交付されますので、保有者が自分の希望に応じて任意にマイナ免許証に切り替えるものとして承知しております。今回の制度改正により、運転免許保有者の免許証の保有形態は三パターンになります。従来の免許証のみ、マイナ免許証のみ、マイナ免許証と従来の免許証の二枚お持ちのいずれかを選択できるようになります。
マイナ免許証のメリットとしては、免許更新時の講習がオンラインで受講できること、更新手数料が安くなること、マイナカードの住所変更を行えば自動的に免許証の住所変更手続が不要になるワンストップサービスが受けられることができるようになります。
しかし、オンライン講習の対象は運転免許証の更新区分が過去五年間無事故無違反の優良運転者の方と、過去五年間に軽微な違反が一回のみの一般運転者の方に限定されます。住所変更のワンストップサービスの対象は、マイナ免許証のみ保有している方に限られ、マイナ免許証と従来の免許証の二枚持ちの方は対象外であるなど、非常に分かりにくい制度となっております。 マイナ免許証の券面には免許種別や有効期間などの免許情報が表示されているわけではありませんので、マイナ免許証の券面を提示しただけではその方が運転免許を保有しているのか分かりません。行政機関にはマイナ免許証が読み取る機械が設置されていますが、民間の事業所においては読み取る機械がありませんので、免許情報を掲示する必要がある場合は従来よりもやや手間が増えてしまいます。
さらに、マイナ免許証の発行手続と紛失再発行手続も複雑です。マイナ免許証の発行手続を行う際には、あらかじめ御自身が設定した署名用電子証明書の暗証番号を入力する必要がありますので、設定されていない方や暗証番号を忘れてしまった方は、事前に自治体の窓口などで設定を行っておかなければなりません。そして、紛失手続は従来の免許証の場合は即日発行ですが、マイナ免許証の場合は、マイナカードの再発行が伴うことから、特急発行の一か月から二か月程度かかってしまうことです。自動車を運転する際には、運転免許証を携帯しなければなりませんし、生活や仕事などで自動車を運転する必要がある方にとっては大変重要なことになります。
愛知県の人口は、東京都、神奈川県、大阪府に次いで全国第四位ですが、運転免許人口は大阪府を抜き、全国第三位で、運転免許保有者は五百十五万人を超えています。
愛知県の令和六年末現在のマイナカード保有率は七七・七%に上っていますので、多くの方がマイナ免許証を利用するのではないかと思われます。運転免許証の保有形態を任意に選択すること、また、それぞれの保有形態でメリット等が異なるなど分かりにくい制度を、県内の多くの運転免許保有者に正しく理解していただき、自分に合った保有形態を選択していただくだけでも大変なことだと思います。
また、マイナカードに健康保険証だけではなく運転免許証など様々な機能が追加されることに不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そこで伺います。
県民の方々が安心してマイナ免許証に切り替えることができるように、マイナ免許証に関する制度の周知と適正な運転免許事務について、どのように取り組んでいかれるのか、警察本部長に伺います。
続きまして、フレキシブルハイスクール及び夜間中学について伺います。
初めに、フレキシブルハイスクールについて伺います。
愛知県教育委員会は、二〇二三年一月に、不登校経験者や外国にルーツを持つ方など多様な学習ニーズを持つ方々に対応する新しいタイプの定時制・通信制高校及び夜間中学を設置することを決定いたしました。
このうち新しいタイプの定時制・通信制高校については、全日制、昼間定時制、通信制の三課程を一つの学校内に置く単位制高校、フレキシブルハイスクールとして、二〇二五年四月に佐屋高校、武豊高校、豊野高校、御津あおば高校の四校が開校されます。
フレキシブルとはどういうことだろうと思い、参考にチャットGPTにフレキシブル教育とはと聞いてみたところ、学習者の多様なニーズやライフスタイルに対応し、学びの内容や方法、時間、場所などに柔軟性を持たせた教育のことを指します。従来の一律的な教育システムとは異なり、個々の学習者に合わせた柔軟なアプローチを取り入れることで、学習の効果を最大化し、学びやすい環境を提供することと回答がありました。こういった教育は不登校を経験した子供たちにはぴったりだなと思いました。
私がフレキシブルハイスクールについて取り上げようと思ったのは、母校である武豊高校について、後輩が、最近は生徒募集において定員割れをしており、このままでは廃校になるのではないかと危惧をしていると言っているところに、フレキシブルハイスクールの一校になることを聞いたためであります。
私が在籍した頃の武豊高校は三百六十人の定員で、特に定員割れといったことを聞くこともなかったと思います。
また、当時は県立高校の滑り止めとしての位置づけであった私立高校は、現在は授業料の無償化が進んだこともあり、人気が高まってきております。少子・高齢化で出生率も大幅に下がり、子供たちが減少していることも承知はしていますが、武豊高校の定員割れは大変深刻なことと受け止めております。
そこで、武豊高校がフレキシブルハイスクールになってどう変わるのか気になりましたので、四十年ぶりに実際に母校に出向いて校長先生から話をお聞きしました。
伺った話によりますと、まず、知多地区の三十五中学校に訪問して、新しく導入されるフレキシブルハイスクールについて、担当の先生方に説明し御理解いただくことから始めたそうです。思えば私も学生のとき、進路説明会で履修と修得について説明を聞いたこともありませんでした。
御津あおば高校は、昨年、二〇二三年四月、先行して昼間定時制を置いていたので、今回は通信制を加える形になりますが、武豊高校をはじめ、残りの三校は全日制に昼間定時制、通信制の二つの課程を併置するだけでなく、生徒のニーズに合わせて、自分が所属する課程以外の授業を設けることができるようにすることなど、初めての取組であったこともあり、二〇二四年八月八日に行われた武豊高校説明会に参加した保護者からは、特に進級、卒業、転籍、併修の御質問が多かったそうですが、答えには検討中という言葉が多かったそうです。開校に向けた検討している段階であったこともあるのでしょうが、保護者としては、多様な学習ニーズや学習のペースを個人に合わせたり、固定された時間割ではなく、生徒が自分のスケジュールに合わせて学べるようにすることや、対面授業、オンライン授業、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド授業など、様々な形式を取り入れる柔軟性に期待を寄せつつも、我が子の進学については心配になります。初めての導入だからこそ少しでも早く方針を打ち出し、保護者や生徒に周知ができたらよかったと思います。
フレキシブルハイスクールでの教育は、テクノロジーの進化やグローバル化、多様な学習ニーズの増加により、今後ますます重要視される教育モデルと言えます。
昨年、欧州視察では、オランダの教育について説明を受ける機会をいただきました。イエナプラン教育はオランダ発祥の教育理念で、特徴としては、年齢混合の小グループ編成で学び、自己主導的な学習で子供同士や教師との対話を重視する点にあり、もちろん学校と保護者の関係もしっかりとしていないと成立しないとのことでした。情報共有も含めて様々な工夫を凝らして一緒になって真剣に子供たちの成長を支えているとも伺いました。驚いたのは、日本には不登校で学校に行けない子がいるが、オランダには不登校の概念がないとのことでした。 不登校がない教育は理想と思いますが、日本には実際に不登校で学校に行けない子、不登校を経験した子が多くいるわけです。こうした子供たちに対応し、県立高校をつくっていく必要があり、四月に開校するフレキシブルハイスクールの取組に期待を寄せているところであります。
そこで質問です。
フレキシブルハイスクールに入学した生徒が充実した学校生活を送るためにどのような学校を目指していくのかお伺いします。
続いて、夜間中学について伺います。
夜間中学は戦後の混乱期の中で、生活困窮などの理由から、昼間に就労または家事手伝い等を余儀なくされた学齢生徒に義務教育の機会を提供することを目的として設置されました。ふと、私が小学校六年生のときですので四十七年前でしょうか、戦時中で学校に行けなかった八十二歳のおじいさんと教室で一緒に勉強したことを思い出しました。
夜間中学は、文字どおり夜の時間帯等に授業が行われる中学校のことをいい、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校など様々な事情により、十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、本国や我が国で義務教育を修了していない外国籍の方など、義務教育を受ける機会を保障する役割があります。文部科学省の調べでは、全国には未就学者が少なくとも約九万四千人、最終卒業学校が小学校の方が約八十万四千人いるほか、近年小中学校における不登校児童生徒が増加し、令和五年度は約三十四万六千人に上っております。さらに、出入国管理法の改正により外国人の数が増加していることもあり、様々な背景を持つ方々の学びを保障する場所として重要な役割を持っています。
文部科学省では、夜間中学を少なくとも各都道府県、指定都市に一校は設置されるよう促進しており、二〇二四年十月現在で三十二都道府県、指定都市に五十三校が設置されています。愛知県では、県立の中学校として、まずは二〇二五年四月にとよはし中学校が開校し、二〇二六年四月には三校の夜間中学が開校いたします。外国にルーツを持つ方や不登校などの理由により中学校に十分に通えなかった方に対する日本語の基礎指導や義務教育段階の学び直しに対応する学校であり、様々な事情により中学校で十分に学ぶことができなかった方々に学びの場が提供され、入学する生徒の高校進学や就職への希望がかなえられることを期待しています。
とよはし中学校は、八月に入学説明会を開催し、たくさんの入学希望者や支援者の方が出席されたと聞いております。注目されているものと思います。
そこで質問いたします。 二〇二五年四月に開校するとよはし中学校では入学者の決定もされている頃かと思いますが、どのような方が入学されるか、また、その状況を踏まえてどのような対応をされていくのかお伺いします。
さらに、とよはし中学校の開校準備の経験を二〇二六年四月に開校する三校の準備にどう生かしていくのかお伺いいたします。
以上、理事者の前向きな答弁を期待して、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
◯教育長(飯田靖君)
初めに、子供を特殊詐欺に巻き込まないような取組についてお答えをいたします。
県教育委員会では、生徒が特殊詐欺に巻き込まれ、犯罪行為に加担をすることを防ぐため、昨年二月と十一月に警察庁が作成をした啓発ポスターや特殊詐欺の事例、闇バイトの募集手口の特徴などをまとめた資料を県立高校と市町村立の中学校全てに配布をし、学校での活用を促しております。
そして、リスクの高まる夏休み、冬休み、春休みの三つの長期休業の前には、改めて県立高校と市町村立の中学校に、終業式の場などを活用して注意喚起をするよう促しております。
さらに、警察官を講師に招き、生徒や保護者向けの講座を開催している学校もあり、SNSを通じた闇バイトの募集の実態や特殊詐欺に加担をし、検挙をされた具体的な事例を挙げて注意を促しております。
それでも、特殊作業をはじめ、犯罪に巻き込まれそうになった場合には、速やかに警察に相談をするよう、指導をしております。
今後も、子供たちがアルバイト感覚で闇バイトに手を出し、特殊詐欺などの犯罪行為に加担をしないように、生徒たちの意識を高めるため、繰り返し繰り返し注意喚起を行ってまいります。
次に、フレキシブルハイスクールについてお答えをいたします。
全日制、昼間定時制、通信制の三つの課程を置くフレキシブルハイスクールは、不登校を経験した生徒が、自分のペースで選んで学べることが最大の特徴でございます。そこで、例えば武豊高校では、三つの課程で同じ教科書を使用することで、課程間の行き来をしやすくいたします。また、文化祭や修学旅行などの学校行事や部活動も、三課程が合同で実施をすることで、どの課程に在籍をしていても同じ経験ができるようにしてまいります。こうした取組により、課程間の垣根を低くし、生徒同士の交流が広がる環境をつくってまいります。
また、通信制には、定期的に登校をして教員から学習指導を受けられるスクーリングの日がございますが、その日以外でも自由に登校をし、自習をしたり、個別に指導を受けたりすることができる居場所もつくってまいります。
さらに、各学校にスクールカウンセラーを配置し、学校生活への悩みや不安を抱える生徒をきめ細かくサポートをしてまいります。
こうした取組を通して、フレキシブルハイスクールに入学をしてくる生徒が充実をした学校生活を送り、一人一人の個性と能力を伸ばすことができる、魅力ある学校にしてまいります。
最後に、夜間中学についてお答えをいたします。
とよはし中学校に入学を予定している方は現在二十一人でございます。このうち二十人が外国にルーツを持つ方で、ブラジルが十人と一番多く、フィリピン、ネパールの順になっております。また、年代別では十代が十四人と全体の七割を占め、ほかには二十代から六十代までの幅広い世代の方々がいらっしゃいます。
入学を予定している方の多くは日本語指導に重点を置いたコースで学び、卒業後は高校や専門学校への進学や資格の取得など、次のステップを目指しております。こうした希望をかなえられるよう、日本語指導を行う教員や母語での学習の支援員を配置し、さらに、希望をする生徒には授業前の時間を使って日本語の初期指導などの学習支援を行い、一人一人に寄り添ったサポートをしてまいります。
とよはし中学校の開校準備では、当初、外国にルーツを持つ方に情報がうまく伝わらないといったことがございました。そこで、豊橋市の多文化共生の担当課の協力を得て、支援団体を通じてコミュニティーに情報を届けることができるようになりました。
また、面談では日本語の理解度や学ぶ意欲、将来の進路希望などを丁寧に聞き取ることで、一人一人に夜間中学で学ぶイメージを持っていただくことができました。来年、二〇二六年四月に開校をする三校では、こうした経験を生かして、早い段階からそれぞれの地域の支援団体へ情報を届けるとともに、丁寧な面談を行うことで、夜間中学に入学を希望する方に寄り添った受入れができるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
◯警察本部長(佐藤隆司君)
初めに、マイナンバーカードと運転免許証の一体化、いわゆるマイナ免許証に関する制度の周知についてお答えいたします。
マイナ免許証とは、個人番号カード、いわゆるマイナンバーカードのICチップに保有している免許の種別や条件等の特定免許情報と呼ばれる情報を記録したもののことで、本年三月二十四日から全国一斉に導入されます。
この制度につきましては、県警ホームページへの掲載や、ポスター等の掲示に加え、交通安全講話等の機会にその概要を説明するなどして、その周知に努めております。
加えて、多くの方々は、免許更新時に現行の運転免許証からマイナ免許証への移行を検討されると思われますので、更新時期に郵送する運転免許証更新連絡書に県警ホームページへアクセスできる二次元コードを掲載するなどしてマイナ免許証の概要等を御案内しているところでございます。
次に、運転免許事務を適正に行うための取組についてお答えいたします。
マイナ免許証に係る運転免許事務において、警察で読み込みや記録等の取扱いができる情報は、運転免許に関するものに限定されており、保険証情報等、ほかの情報にアクセスすることはできません。
県民の方々に安心してマイナ免許証に移行していただくために、このことを丁寧に説明してまいります。
現行の運転免許証からマイナ免許証への移行手続については、機材や人員が整備された運転免許試験場と、東三河運転免許センターで集中的に対処することとしております。また、免許更新を行っている警察署でも、優良運転者の方は、免許更新時にマイナ免許証への移行手続を行うこととしておりますので、運転免許事務の担当者への教養を継続的に行うなどしております。
今後もマイナ免許証の制度周知に向けた広報や、その事務を適正に行うために、職員への指導教養等に努めてまいりたいと考えております。
◯知事(大村秀章君)
朝倉浩一議員の質問のうち、フレキシブルハイスクールと夜間中学について、私からもお答えをいたします。
近年、定時制・通信制高校が、不登校や中途退学の経験者、外国にルーツを持つなど、多様な生徒の学びの場に変わってきていることを踏まえまして、二〇二三年の一月に定時制・通信制教育アップデートプランを策定し、フレキシブルハイスクールは佐屋、武豊、豊野、御津あおばの四校とし、そして夜間中学はとよはし、とよた、こまき、いちのみやの四校を開校するということといたしました。夜間中学はこれに加え、名古屋市笹島のなごやか中学校──これは名古屋市開設ですが──を含めますと県内に五校となります。
そして、フレキシブルハイスクールでは、在籍している課程とは別の課程の授業を受ける併修──併せて受けるですね──ができますが、これによる授業料を実質無償にする国の就学支援金の限度額を超える場合がありますので、その場合は県がそれも免除をすることで頑張る生徒を応援してまいります。
本県の取組は全国的にも、これは大変注目をされておりまして、こうした学校の役割は今後ますます重要になってくると思います。全日制と定時制と通信制を行ったり来たりするフレキシブルハイスクールという取組が注目されているということでありますが、こうした学校の役割が大変重要だと考えますので、学校に行きづらい子供たちや外国にルーツを持つ子供たちが安心して自分のペースで、将来に向かって前向きに進んでいけるように、しっかりと取り組んでまいります。
◯三十八番(朝倉浩一君)
知事はじめ、それぞれ御答弁ありがとうございました。
それでは、子供を特殊詐欺に巻き込まないような取組について要望を申し上げます。
県警察の特殊詐欺を含め、SNSを利用した犯罪の防止対策について、我が団の森井団長の代表質問でも御答弁をいただきました。先週の報道で、ミャンマー東部を拠点とした特殊詐欺で、うその電話をかけるかけ子として愛知県在住の男子高校生が保護された事件が報道されました。高校生は県内の通信制高校に在籍するが、ほとんど通っていなかったと書かれておりました。
いつ、何どき犯罪に巻き込まれるか分からない状況をつくらないためにも、県警察と教育関係者団体と協力していくことは不可欠であります。
特殊詐欺等の対策について、県警の御努力は十分御理解をしております。昨年の一般質問で、友人の息子さんが特殊詐欺の受け子として逮捕され、実刑を受けたことを述べさせていただきました。その息子さんは出所をして真面目に働いていると聞いております。一度の大きな過ちではありますが、子を持つ親としては、一人でも多くの若年層犯罪者を減らしたいと思います。闇とかけて八月三日を闇バイト加担防止の日と制定することも大変重要でありますが、私は本県がさらに県警察、教育関係団体、子供たちと一緒に犯罪防止活動を進めていただき、安心して暮らせる環境にできますことをお願い申し上げまして、要望を終わります。ありがとうございました。
議長にお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
最初に、子供を特殊詐欺に巻き込まないような取組について伺います。
令和六年版警察白書によりますと、令和五年一月に東京狛江市で発生した強盗殺人事件をはじめとして、広域的に強盗等事件が発生し、国民に大きな不安を与えました。これらの犯罪を敢行したのは、SNSや求人サイト等を利用して募集された実行犯らであり、匿名性の高い通信手段を活用しながら、指示役等と連絡を取り合っている実態が見られました。
また、深刻な情勢にある特殊詐欺についても、同様の特徴を持つ犯罪グループが広域的に敢行している実態が次第に明らかになりました。このような集団は、多様な資金獲得活動により得た収益を吸い上げる中核部分が匿名化されているという点、SNSや求人サイトを通じるなどして緩やかに結びついたメンバー同士が役割を細分化させ、その都度メンバーを入れ替えながら、多様な資金獲得活動を行うという点で、従来の犯罪組織とは全く異なっているということです。
このような情勢を踏まえ、警察ではこうした特徴を有する集団を匿名・流動型犯罪グループとして位置づけたところであります。以後、トクリュウと申し上げます。
トクリュウは、特殊詐欺をはじめ、様々な犯罪により資金を獲得しているということが見られます。警察ではこうした多様な資金獲得活動に着目した取締りにより、同グループに対して効果的に打撃を与えるとともに、組織的犯罪処罰法等の積極的な適用により犯罪収益の剥奪を推進しております。
令和六年四月から五月までの間におけるトクリュウによるものと見られる資金獲得犯罪について、主な資金獲得犯罪の検挙人員五百八人を罪種別に見ると、詐欺が二百八十九人、強盗が三十四人、窃盗が百三人となっており、トクリュウが詐欺を主な資金源としている状況がうかがわれます。
また、令和六年四月から五月までの間におけるトクリュウによるものと見られる主な資金獲得犯罪の検挙人員のうち、SNSでの犯罪実行者募集情報に応募する形で犯行に関与した者は百五十五人と全体の三〇・五%を占めていることも大変驚くところであります。
令和五年中の特殊詐欺の認知件数は一万九千三十八件、被害額は約四百五十三億円と、認知件数は三年連続、被害額は二年連続で増加し、高齢者を中心に多額の被害が生じており、依然として深刻な情勢にあります。
特殊詐欺で検挙された暴力団構成員等の割合から、暴力団が特殊詐欺を主要な資金源としている実態がうかがわれている一方、近年はトクリュウによるものと見られる特殊詐欺が広域的に行われている状況が見られます。
特殊詐欺を実行するトクリュウは、SNS等で高額な報酬を載せて受け子等を募集し、犯行に加担させるなどしているようです。また、首謀者、指示役、実行役の間の連絡手段には、匿名性が高く、メッセージが自動的に消去される仕組みを備えた通信手段を使用するなど、犯罪の証拠を隠滅しようとする手口が多く見られていることです。
昨年二月定例議会の一般質問で、SNSを悪用した犯罪対策について質問をさせていただきました際に、県警として若者がSNSを通じて安易に特殊詐欺の犯行に加担する実行犯を生まないための取組について、SNS上の有害投稿に対し、警告、注意喚起等をより迅速かつ効率的に行うため、これまで手動で行っていたリプライ警告を自動化するシステムの導入を検討する。そして、引き続き関係機関と連携を図り、若者がSNSを通じて安易に特殊詐欺へ加担しないための取組を推進していくと答弁をいただきました。
トクリュウによる犯罪を防止するためには、組織の実態解明や犯人の検挙には警察に期待をするところでありますが、実行犯がいなければトクリュウは成立しないと考えます。特殊詐欺では、三十代未満が七割以上、警察庁の二〇二三年の統計では四百三十一人の少年が検挙され、このうち七割以上が受け子でありました。そのため、青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させないよう、啓発の強化が必要であるのではないかと思われます。
二〇二四年、半田市において実施をされました半田中学校キャリア教育の取組について御紹介をさせていただきます。半田中学校のキャリア教育では、地域のボランティア活動や地元企業が抱えている社会問題について知り、その解決に向けた話合いを行っております。
半田市教育委員会としても、キャリア教育を通じて、児童生徒が地域住民や地元企業等と連携をし、地域に貢献しようとする意欲が生まれるように努めています。
令和五年度、第一学年のキャリア学習協力企業等の中から半田警察署を選んだ生徒のグループが、半田警察署から闇バイトへの加担防止及び特殊詐欺被害防止に関する取組や課題について知りました。
半田警察署担当グループの生徒は、その課題に対する解決策を考え、施策を提言いたしました。
その内容の一つは、特殊詐欺防止対策です。特殊詐欺防止対策のポスターを作成し、掲示して広く市民に知ってもらうと同時に、CMとティックトック用のショート動画を作成し、世界中の人に知ってもらうことでした。
二つ目は、闇バイトへの加担防止対策です。闇バイトへの加担防止対策のポスターを作成し、掲示して市民に広く知ってもらう。また、八月三日を闇とかけて闇バイト加担防止の日に制定し、市民が犯罪を犯さない機運を高める機会にするとのことでした。
これを受けて半田警察署は、中学生からの提言を有効性が認められる施策として実現することが決定をいたしました。
実際に中学生からの提言に基づく取組を紹介いたします。
一つ目は、ポスターコンクールの実施です。半田市内の中学生を応募対象にして、特殊詐欺被害防止及び闇バイトへの加担防止をテーマとしたポスターを募集し、それぞれのテーマで最優秀作品を選出して広報用ポスターを作成し、これを掲示することです。
ショート動画の制作は、半田中学校の生徒による動画制作委員会に動画制作を依頼し、制作した動画をデジタルサイネージを保有する半田市内の企業等に協力依頼し、完成した動画を再生して広報することです。
続いてキャンペーン活動の実施です。闇バイト加担防止の日を八月三日に制定し、その日にポスターコンクールの表彰、ショート動画のお披露目を行い、それぞれの機関と連携した闇バイト加担防止に関するキャンペーンを実施いたしました。
実際に私もキャンペーンに参加しましたが、感心したのは、半田警察署が関係機関である半田市、半田市教育委員会、半田防犯協会連合会、東知多少年補導委員会、保護司会及び少年サポート委員会に対し、連携し、協力してきたことです。
議長にお許しをいただきましたので、本日、最優秀作品をポスターにし、半田署管内の学校、役場等において掲示しているポスターと入賞作品を紹介するポスターカレンダーを持ってまいりましたのでお見せいたします。
〔パネル図を示す〕
まず、これが半田市長賞であります。半田市長賞です。見えないですか、すみません。三つあるのでちょっと。
〔パネル図を示す〕
それから、これは半田警察署長賞ですね。これはみんな中学生が描いたんですね。よろしいですか。
〔パネル図を示す〕
それから、これが半田警察署が作った闇バイト、特殊詐欺のカレンダーです。カレンダーです。以上です。
半田警察署を含め、各種防止活動に参加した中学生の子供たちの声ですが、貢献できてうれしい、私たち自らが犯罪に対して意識を持てるようになったなどでした。
このように、広域的に行われる特殊詐欺に対して、警察が様々な関係機関と連携し、子供が当事者にならないような啓発活動に取り組むことは大変重要であり、教育委員会の役割が大切であると考えます。
そこで、子供を特殊詐欺に巻き込まないように、県教育委員会としてどのように取り組んでいかれるのかを伺います。
続きまして、マイナンバーカードと運転免許証の一体化について伺います。
今年三月二十四日からマイナンバーカードと運転免許証の一体化、いわゆるマイナ免許証が導入をされます。健康保険証は昨年十二月二日から新規発行が停止され、マイナカードを利用することが基本になりましたが、今交付されている運転免許証は廃止されず、継続して交付されますので、保有者が自分の希望に応じて任意にマイナ免許証に切り替えるものとして承知しております。今回の制度改正により、運転免許保有者の免許証の保有形態は三パターンになります。従来の免許証のみ、マイナ免許証のみ、マイナ免許証と従来の免許証の二枚お持ちのいずれかを選択できるようになります。
マイナ免許証のメリットとしては、免許更新時の講習がオンラインで受講できること、更新手数料が安くなること、マイナカードの住所変更を行えば自動的に免許証の住所変更手続が不要になるワンストップサービスが受けられることができるようになります。
しかし、オンライン講習の対象は運転免許証の更新区分が過去五年間無事故無違反の優良運転者の方と、過去五年間に軽微な違反が一回のみの一般運転者の方に限定されます。住所変更のワンストップサービスの対象は、マイナ免許証のみ保有している方に限られ、マイナ免許証と従来の免許証の二枚持ちの方は対象外であるなど、非常に分かりにくい制度となっております。 マイナ免許証の券面には免許種別や有効期間などの免許情報が表示されているわけではありませんので、マイナ免許証の券面を提示しただけではその方が運転免許を保有しているのか分かりません。行政機関にはマイナ免許証が読み取る機械が設置されていますが、民間の事業所においては読み取る機械がありませんので、免許情報を掲示する必要がある場合は従来よりもやや手間が増えてしまいます。
さらに、マイナ免許証の発行手続と紛失再発行手続も複雑です。マイナ免許証の発行手続を行う際には、あらかじめ御自身が設定した署名用電子証明書の暗証番号を入力する必要がありますので、設定されていない方や暗証番号を忘れてしまった方は、事前に自治体の窓口などで設定を行っておかなければなりません。そして、紛失手続は従来の免許証の場合は即日発行ですが、マイナ免許証の場合は、マイナカードの再発行が伴うことから、特急発行の一か月から二か月程度かかってしまうことです。自動車を運転する際には、運転免許証を携帯しなければなりませんし、生活や仕事などで自動車を運転する必要がある方にとっては大変重要なことになります。
愛知県の人口は、東京都、神奈川県、大阪府に次いで全国第四位ですが、運転免許人口は大阪府を抜き、全国第三位で、運転免許保有者は五百十五万人を超えています。
愛知県の令和六年末現在のマイナカード保有率は七七・七%に上っていますので、多くの方がマイナ免許証を利用するのではないかと思われます。運転免許証の保有形態を任意に選択すること、また、それぞれの保有形態でメリット等が異なるなど分かりにくい制度を、県内の多くの運転免許保有者に正しく理解していただき、自分に合った保有形態を選択していただくだけでも大変なことだと思います。
また、マイナカードに健康保険証だけではなく運転免許証など様々な機能が追加されることに不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そこで伺います。
県民の方々が安心してマイナ免許証に切り替えることができるように、マイナ免許証に関する制度の周知と適正な運転免許事務について、どのように取り組んでいかれるのか、警察本部長に伺います。
続きまして、フレキシブルハイスクール及び夜間中学について伺います。
初めに、フレキシブルハイスクールについて伺います。
愛知県教育委員会は、二〇二三年一月に、不登校経験者や外国にルーツを持つ方など多様な学習ニーズを持つ方々に対応する新しいタイプの定時制・通信制高校及び夜間中学を設置することを決定いたしました。
このうち新しいタイプの定時制・通信制高校については、全日制、昼間定時制、通信制の三課程を一つの学校内に置く単位制高校、フレキシブルハイスクールとして、二〇二五年四月に佐屋高校、武豊高校、豊野高校、御津あおば高校の四校が開校されます。
フレキシブルとはどういうことだろうと思い、参考にチャットGPTにフレキシブル教育とはと聞いてみたところ、学習者の多様なニーズやライフスタイルに対応し、学びの内容や方法、時間、場所などに柔軟性を持たせた教育のことを指します。従来の一律的な教育システムとは異なり、個々の学習者に合わせた柔軟なアプローチを取り入れることで、学習の効果を最大化し、学びやすい環境を提供することと回答がありました。こういった教育は不登校を経験した子供たちにはぴったりだなと思いました。
私がフレキシブルハイスクールについて取り上げようと思ったのは、母校である武豊高校について、後輩が、最近は生徒募集において定員割れをしており、このままでは廃校になるのではないかと危惧をしていると言っているところに、フレキシブルハイスクールの一校になることを聞いたためであります。
私が在籍した頃の武豊高校は三百六十人の定員で、特に定員割れといったことを聞くこともなかったと思います。
また、当時は県立高校の滑り止めとしての位置づけであった私立高校は、現在は授業料の無償化が進んだこともあり、人気が高まってきております。少子・高齢化で出生率も大幅に下がり、子供たちが減少していることも承知はしていますが、武豊高校の定員割れは大変深刻なことと受け止めております。
そこで、武豊高校がフレキシブルハイスクールになってどう変わるのか気になりましたので、四十年ぶりに実際に母校に出向いて校長先生から話をお聞きしました。
伺った話によりますと、まず、知多地区の三十五中学校に訪問して、新しく導入されるフレキシブルハイスクールについて、担当の先生方に説明し御理解いただくことから始めたそうです。思えば私も学生のとき、進路説明会で履修と修得について説明を聞いたこともありませんでした。
御津あおば高校は、昨年、二〇二三年四月、先行して昼間定時制を置いていたので、今回は通信制を加える形になりますが、武豊高校をはじめ、残りの三校は全日制に昼間定時制、通信制の二つの課程を併置するだけでなく、生徒のニーズに合わせて、自分が所属する課程以外の授業を設けることができるようにすることなど、初めての取組であったこともあり、二〇二四年八月八日に行われた武豊高校説明会に参加した保護者からは、特に進級、卒業、転籍、併修の御質問が多かったそうですが、答えには検討中という言葉が多かったそうです。開校に向けた検討している段階であったこともあるのでしょうが、保護者としては、多様な学習ニーズや学習のペースを個人に合わせたり、固定された時間割ではなく、生徒が自分のスケジュールに合わせて学べるようにすることや、対面授業、オンライン授業、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド授業など、様々な形式を取り入れる柔軟性に期待を寄せつつも、我が子の進学については心配になります。初めての導入だからこそ少しでも早く方針を打ち出し、保護者や生徒に周知ができたらよかったと思います。
フレキシブルハイスクールでの教育は、テクノロジーの進化やグローバル化、多様な学習ニーズの増加により、今後ますます重要視される教育モデルと言えます。
昨年、欧州視察では、オランダの教育について説明を受ける機会をいただきました。イエナプラン教育はオランダ発祥の教育理念で、特徴としては、年齢混合の小グループ編成で学び、自己主導的な学習で子供同士や教師との対話を重視する点にあり、もちろん学校と保護者の関係もしっかりとしていないと成立しないとのことでした。情報共有も含めて様々な工夫を凝らして一緒になって真剣に子供たちの成長を支えているとも伺いました。驚いたのは、日本には不登校で学校に行けない子がいるが、オランダには不登校の概念がないとのことでした。 不登校がない教育は理想と思いますが、日本には実際に不登校で学校に行けない子、不登校を経験した子が多くいるわけです。こうした子供たちに対応し、県立高校をつくっていく必要があり、四月に開校するフレキシブルハイスクールの取組に期待を寄せているところであります。
そこで質問です。
フレキシブルハイスクールに入学した生徒が充実した学校生活を送るためにどのような学校を目指していくのかお伺いします。
続いて、夜間中学について伺います。
夜間中学は戦後の混乱期の中で、生活困窮などの理由から、昼間に就労または家事手伝い等を余儀なくされた学齢生徒に義務教育の機会を提供することを目的として設置されました。ふと、私が小学校六年生のときですので四十七年前でしょうか、戦時中で学校に行けなかった八十二歳のおじいさんと教室で一緒に勉強したことを思い出しました。
夜間中学は、文字どおり夜の時間帯等に授業が行われる中学校のことをいい、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校など様々な事情により、十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、本国や我が国で義務教育を修了していない外国籍の方など、義務教育を受ける機会を保障する役割があります。文部科学省の調べでは、全国には未就学者が少なくとも約九万四千人、最終卒業学校が小学校の方が約八十万四千人いるほか、近年小中学校における不登校児童生徒が増加し、令和五年度は約三十四万六千人に上っております。さらに、出入国管理法の改正により外国人の数が増加していることもあり、様々な背景を持つ方々の学びを保障する場所として重要な役割を持っています。
文部科学省では、夜間中学を少なくとも各都道府県、指定都市に一校は設置されるよう促進しており、二〇二四年十月現在で三十二都道府県、指定都市に五十三校が設置されています。愛知県では、県立の中学校として、まずは二〇二五年四月にとよはし中学校が開校し、二〇二六年四月には三校の夜間中学が開校いたします。外国にルーツを持つ方や不登校などの理由により中学校に十分に通えなかった方に対する日本語の基礎指導や義務教育段階の学び直しに対応する学校であり、様々な事情により中学校で十分に学ぶことができなかった方々に学びの場が提供され、入学する生徒の高校進学や就職への希望がかなえられることを期待しています。
とよはし中学校は、八月に入学説明会を開催し、たくさんの入学希望者や支援者の方が出席されたと聞いております。注目されているものと思います。
そこで質問いたします。 二〇二五年四月に開校するとよはし中学校では入学者の決定もされている頃かと思いますが、どのような方が入学されるか、また、その状況を踏まえてどのような対応をされていくのかお伺いします。
さらに、とよはし中学校の開校準備の経験を二〇二六年四月に開校する三校の準備にどう生かしていくのかお伺いいたします。
以上、理事者の前向きな答弁を期待して、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
◯教育長(飯田靖君)
初めに、子供を特殊詐欺に巻き込まないような取組についてお答えをいたします。
県教育委員会では、生徒が特殊詐欺に巻き込まれ、犯罪行為に加担をすることを防ぐため、昨年二月と十一月に警察庁が作成をした啓発ポスターや特殊詐欺の事例、闇バイトの募集手口の特徴などをまとめた資料を県立高校と市町村立の中学校全てに配布をし、学校での活用を促しております。
そして、リスクの高まる夏休み、冬休み、春休みの三つの長期休業の前には、改めて県立高校と市町村立の中学校に、終業式の場などを活用して注意喚起をするよう促しております。
さらに、警察官を講師に招き、生徒や保護者向けの講座を開催している学校もあり、SNSを通じた闇バイトの募集の実態や特殊詐欺に加担をし、検挙をされた具体的な事例を挙げて注意を促しております。
それでも、特殊作業をはじめ、犯罪に巻き込まれそうになった場合には、速やかに警察に相談をするよう、指導をしております。
今後も、子供たちがアルバイト感覚で闇バイトに手を出し、特殊詐欺などの犯罪行為に加担をしないように、生徒たちの意識を高めるため、繰り返し繰り返し注意喚起を行ってまいります。
次に、フレキシブルハイスクールについてお答えをいたします。
全日制、昼間定時制、通信制の三つの課程を置くフレキシブルハイスクールは、不登校を経験した生徒が、自分のペースで選んで学べることが最大の特徴でございます。そこで、例えば武豊高校では、三つの課程で同じ教科書を使用することで、課程間の行き来をしやすくいたします。また、文化祭や修学旅行などの学校行事や部活動も、三課程が合同で実施をすることで、どの課程に在籍をしていても同じ経験ができるようにしてまいります。こうした取組により、課程間の垣根を低くし、生徒同士の交流が広がる環境をつくってまいります。
また、通信制には、定期的に登校をして教員から学習指導を受けられるスクーリングの日がございますが、その日以外でも自由に登校をし、自習をしたり、個別に指導を受けたりすることができる居場所もつくってまいります。
さらに、各学校にスクールカウンセラーを配置し、学校生活への悩みや不安を抱える生徒をきめ細かくサポートをしてまいります。
こうした取組を通して、フレキシブルハイスクールに入学をしてくる生徒が充実をした学校生活を送り、一人一人の個性と能力を伸ばすことができる、魅力ある学校にしてまいります。
最後に、夜間中学についてお答えをいたします。
とよはし中学校に入学を予定している方は現在二十一人でございます。このうち二十人が外国にルーツを持つ方で、ブラジルが十人と一番多く、フィリピン、ネパールの順になっております。また、年代別では十代が十四人と全体の七割を占め、ほかには二十代から六十代までの幅広い世代の方々がいらっしゃいます。
入学を予定している方の多くは日本語指導に重点を置いたコースで学び、卒業後は高校や専門学校への進学や資格の取得など、次のステップを目指しております。こうした希望をかなえられるよう、日本語指導を行う教員や母語での学習の支援員を配置し、さらに、希望をする生徒には授業前の時間を使って日本語の初期指導などの学習支援を行い、一人一人に寄り添ったサポートをしてまいります。
とよはし中学校の開校準備では、当初、外国にルーツを持つ方に情報がうまく伝わらないといったことがございました。そこで、豊橋市の多文化共生の担当課の協力を得て、支援団体を通じてコミュニティーに情報を届けることができるようになりました。
また、面談では日本語の理解度や学ぶ意欲、将来の進路希望などを丁寧に聞き取ることで、一人一人に夜間中学で学ぶイメージを持っていただくことができました。来年、二〇二六年四月に開校をする三校では、こうした経験を生かして、早い段階からそれぞれの地域の支援団体へ情報を届けるとともに、丁寧な面談を行うことで、夜間中学に入学を希望する方に寄り添った受入れができるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
◯警察本部長(佐藤隆司君)
初めに、マイナンバーカードと運転免許証の一体化、いわゆるマイナ免許証に関する制度の周知についてお答えいたします。
マイナ免許証とは、個人番号カード、いわゆるマイナンバーカードのICチップに保有している免許の種別や条件等の特定免許情報と呼ばれる情報を記録したもののことで、本年三月二十四日から全国一斉に導入されます。
この制度につきましては、県警ホームページへの掲載や、ポスター等の掲示に加え、交通安全講話等の機会にその概要を説明するなどして、その周知に努めております。
加えて、多くの方々は、免許更新時に現行の運転免許証からマイナ免許証への移行を検討されると思われますので、更新時期に郵送する運転免許証更新連絡書に県警ホームページへアクセスできる二次元コードを掲載するなどしてマイナ免許証の概要等を御案内しているところでございます。
次に、運転免許事務を適正に行うための取組についてお答えいたします。
マイナ免許証に係る運転免許事務において、警察で読み込みや記録等の取扱いができる情報は、運転免許に関するものに限定されており、保険証情報等、ほかの情報にアクセスすることはできません。
県民の方々に安心してマイナ免許証に移行していただくために、このことを丁寧に説明してまいります。
現行の運転免許証からマイナ免許証への移行手続については、機材や人員が整備された運転免許試験場と、東三河運転免許センターで集中的に対処することとしております。また、免許更新を行っている警察署でも、優良運転者の方は、免許更新時にマイナ免許証への移行手続を行うこととしておりますので、運転免許事務の担当者への教養を継続的に行うなどしております。
今後もマイナ免許証の制度周知に向けた広報や、その事務を適正に行うために、職員への指導教養等に努めてまいりたいと考えております。
◯知事(大村秀章君)
朝倉浩一議員の質問のうち、フレキシブルハイスクールと夜間中学について、私からもお答えをいたします。
近年、定時制・通信制高校が、不登校や中途退学の経験者、外国にルーツを持つなど、多様な生徒の学びの場に変わってきていることを踏まえまして、二〇二三年の一月に定時制・通信制教育アップデートプランを策定し、フレキシブルハイスクールは佐屋、武豊、豊野、御津あおばの四校とし、そして夜間中学はとよはし、とよた、こまき、いちのみやの四校を開校するということといたしました。夜間中学はこれに加え、名古屋市笹島のなごやか中学校──これは名古屋市開設ですが──を含めますと県内に五校となります。
そして、フレキシブルハイスクールでは、在籍している課程とは別の課程の授業を受ける併修──併せて受けるですね──ができますが、これによる授業料を実質無償にする国の就学支援金の限度額を超える場合がありますので、その場合は県がそれも免除をすることで頑張る生徒を応援してまいります。
本県の取組は全国的にも、これは大変注目をされておりまして、こうした学校の役割は今後ますます重要になってくると思います。全日制と定時制と通信制を行ったり来たりするフレキシブルハイスクールという取組が注目されているということでありますが、こうした学校の役割が大変重要だと考えますので、学校に行きづらい子供たちや外国にルーツを持つ子供たちが安心して自分のペースで、将来に向かって前向きに進んでいけるように、しっかりと取り組んでまいります。
◯三十八番(朝倉浩一君)
知事はじめ、それぞれ御答弁ありがとうございました。
それでは、子供を特殊詐欺に巻き込まないような取組について要望を申し上げます。
県警察の特殊詐欺を含め、SNSを利用した犯罪の防止対策について、我が団の森井団長の代表質問でも御答弁をいただきました。先週の報道で、ミャンマー東部を拠点とした特殊詐欺で、うその電話をかけるかけ子として愛知県在住の男子高校生が保護された事件が報道されました。高校生は県内の通信制高校に在籍するが、ほとんど通っていなかったと書かれておりました。
いつ、何どき犯罪に巻き込まれるか分からない状況をつくらないためにも、県警察と教育関係者団体と協力していくことは不可欠であります。
特殊詐欺等の対策について、県警の御努力は十分御理解をしております。昨年の一般質問で、友人の息子さんが特殊詐欺の受け子として逮捕され、実刑を受けたことを述べさせていただきました。その息子さんは出所をして真面目に働いていると聞いております。一度の大きな過ちではありますが、子を持つ親としては、一人でも多くの若年層犯罪者を減らしたいと思います。闇とかけて八月三日を闇バイト加担防止の日と制定することも大変重要でありますが、私は本県がさらに県警察、教育関係団体、子供たちと一緒に犯罪防止活動を進めていただき、安心して暮らせる環境にできますことをお願い申し上げまして、要望を終わります。ありがとうございました。