令和7年総務企画委員会 2025年7月1日

【朝倉浩一委員】
 私からは、高齢者の交通事故抑止に向けた取組について伺う。
 昨年、愛知県内においては、交通事故により141人の貴い命が奪われ、その半数以上の77人が65歳以上の高齢者であった。また、77人のうち41人が歩行者で最も多く、次いで自転車乗車中が17人であることから、高齢者の交通事故抑止対策、とりわけ歩行者、自転車への対策は喫緊の課題である。
 一方で、ニュースで毎日のように取り沙汰されている高齢者による高速道路の逆走やアクセルの踏み間違いによる事故が多発している。先々週、私の息子の妻も高齢者による信号無視で事故に巻き込まれた。話を聞いたところ、ぼーっとしていて飛び出してしまったとのことだった。何とかむち打ちで終わったが、車が大破して、全損で廃車となった。孫が乗車していればとんだことになっていたと思う。
 そこで、今年に入ってからの高齢者の交通死亡事故の発生状況とその特徴について伺う。

【県民安全課担当課長(県民安全)】
 令和7年1月から5月末までの交通事故死者数44人のうち、65歳以上は24人で、半数以上を占めている。特徴として、歩行者が10人で約4割を占めている。また、自転車乗車中が24人のうち6人で、25パーセントとなっており、そのうち3人が、信号無視や指定場所一時不停止といった交通ルールを遵守しなかったことで交通事故に遭っている。

【朝倉浩一委員】
 県として高齢歩行者への交通事故対策についてどのように取り組んでいるのか伺う。

【県民安全課担当課長(県民安全)】
 高齢歩行者の交通事故については、特に横断中に多発していることから、横断するときは横断歩道を渡る、信号機のあるところでは信号に従うなど、基本的な交通ルールを守ってもらうように広報、啓発を行っている。具体的には、出張講座において歩行環境シミュレータを活用し、交通ルールを学んでもらっている。また、横断歩道でのハンドアップを促すポスターを作成して、図書館をはじめ、県内各所で掲示している。このほか、夜間、薄暮時の反射材着用は事故抑止に有効であることから、キャンペーンなどの機会に反射材を配布し、着用を促している。さらに、今年度は、高齢者層の利用が多い薬局や医療施設のデジタルサイネージを活用し、愛知県内で活躍する著名人が交通ルールの遵守や反射材の着用を呼びかける啓発動画を放映し、高齢者の交通事故ゼロを呼びかけていく。

【朝倉浩一委員】
 高齢歩行者の対策については大変理解した。一方、高齢者の死亡事故には自転車乗車中のものも多くなっており、全体の25パーセントを占めている。また、その中には、信号無視や一旦不停止など、交通ルールを遵守しなかったことで交通事故に遭っている人もいる。折しも来年4月からは自転車の交通反則通告制度、いわゆる青切符が導入される。交通安全教育を受ける機会の少ない高齢者に対して、県はどのように取り組んでいるのか伺う。

【県民安全課担当課長(県民安全)】
 高齢者の自転車運転中の交通ルール遵守に向けては、老人クラブなどの行事において、自転車を運転する際に起こり得る危険を体験できる自転車シミュレータを活用した参加体験型の出張講座を実施し、疑似体験を通じて、自転車乗車時の交通ルールや危険性などについて周知を行っている。また、令和8年4月からの青切符の導入に向け、今年度作成を予定しているルールブックをシルバー人材センターや公民館など、高齢者が利用する施設にも配布していく。今後も、様々な機会を通じて、高齢者の交通事故抑止に向けてしっかりと取り組む。

【朝倉浩一委員】
 それでは、要望する。先日、高齢者の女性が、車も古くなったので、安全装置付きの新車が欲しいと私の会社に来た。試乗してもらい契約に至ったが、数日後、納期もかかるとキャンセルになった。その人の娘に話を聞いてみると、最近事故のニュースがよくあり、怖くなって、改めて免許返納を決めたとのことだった。高齢者が被害者となる交通事故が発生し、また、ブレーキ、アクセルの踏み間違いを原因とする交通事故や高速道路での逆走など、高齢者が加害者となる交通事故も発生しており、その対策も喫緊の課題である。そこで、運転免許証の自主返納制度やサポカー限定免許証等に関する周知についても一層行ってもらうよう要望する。

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