令和7年9月定例会(第2号) 2025年9月26日

◯三十八番(朝倉浩一君)
 あいち民主の朝倉浩一です。議長にお許しいただきましたので、順次質問させていただきます。
 私ども、あいち民主県議団は、去る八月二十一日、令和七年度施策及び補正予算に関する要望を大村知事に提出いたしました。
 昨年度は、八月及び一月に政策提言を実施し、今年度の当初予算をもって県からの回答が示された中、天野団長のスローガン、主役がヤング、ヤング愛知を目指す上で、要望の最重点に現役世代、特に若者世代(Y・Z・α世代)の負担を減らす政策を掲げ、その実現に向け、速やかに活動を開始したところであります。
 これに加えまして、高齢者や障害のある方、支援を必要とする方々を取り巻く諸課題への政策についても引き続き取り組んでまいります。
 現在、円安や資材の高騰、人手不足などの影響により、我が国の物価は、依然として落ち着きを取り戻せない状況にあります。私たちの主食である米についても、国が備蓄米を放出するなどの対策を講じておりますが、価格は依然として高止まりし、県民の皆様の生活不安が解消されない状況にあります。
 こうした中で、特に現役世代や若者世代が未来に希望を持って生活できる愛知県とするためには、早急に具体的な対策を講じていくことが必要であります。
 その観点から、私ども県議団として、施策及び補正予算に関する要望を取りまとめ、提出させていただいたところであります。今回は、こうした内容も踏まえ、県政の諸課題について質問してまいります。
 質問の第一は、魅力的な地域づくりとさらなる愛知の発展についてであります。
 まず、アジア競技大会及びアジアパラ競技大会についてお伺いします。
 今月でアジア競技大会の開幕まで一年となり、来月にはアジアパラ競技大会の開幕まで一年となります。九月二十日には、名古屋テレビ塔エリアにおいて、愛知・名古屋二〇二六、一年前イベントが開催され、大村知事出席の下、アジア競技大会一年前を記念するセレモニーが行われました。
 会場では、プロBMXライダーの高木聖雄さんによる迫力あるパフォーマンスや、プロスリー・エックス・スリーバスケットボールチーム、アイチエスワンによる華麗なプレーが披露され、多くの来場者が大会への期待を膨らませたことと思います。
 また、大会の主要会場である愛知国際アリーナは、七月十三日にグランドオープンし、大相撲名古屋場所やコンサートなどで県内外から多くの観客を集めています。
 メイン会場の名古屋市瑞穂公園陸上競技場は、観客席を覆う大屋根やスタジアム外観の大部分が出来上がり、来年三月のオープンに向けて着実に工事が進んでいます。ここで開会・閉会式や陸上競技が行われることを大いに楽しみにしています。
 大会運営面では、一般ボランティアの募集に二万六千人を超える応募があり、採用イベントを経て、現在はeラーニングによる共通研修が行われています。さらに、十月末まで募集を行っている専門ボランティアや学生ボランティアと共に、大会の一翼を担っていただくことが期待されています。八月には、ボランティアを含む大会スタッフが着用するユニフォームも発表され、大会の開催が近づいていることを実感しました。
 また、九月十三日から二十一日まで東京・国立競技場で開催された東京二〇二五世界陸上競技選手権大会では、世界のトップアスリートが、世界一を目指し熱戦を繰り広げました。二〇〇七年の大阪大会以来、十八年ぶりの日本開催であり、日本選手への期待は大きく、会場やメディアを通じて多くの観客が一体となっての応援は、選手の背中を後押しし、最高のパフォーマンスへと導いたことと思われます。
 さて、いよいよ来年、ここ愛知・名古屋でアジア競技大会、アジアパラ競技大会が開催されます。多くの観客による応援は、選手に力を与え、選手の活躍は、国民に夢と感動を届け、国全体に活力を与えるものになります。そのためにも選手団や観客を迎える準備も含めて、機運醸成は大変重要であると思います。
 そこでお伺いします。
 大会開催に向けた機運醸成について、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、地域交通の確保に向けた取組についてお伺いします。
 我が国の人口は、二〇〇八年をピークに減少に転じており、本県においても、ピークとなった二〇一九年の約七百五十五万四千人から、二〇二四年は約七百四十六万五千人へと減少しています。さらに、二〇四〇年には約七百五万人まで減少すると予測されています。
 人口の年齢構成で見てみますと、本県における六十五歳以上の高齢者の人口割合は、二〇一九年は二五%、二〇二四年には二五・八%でしたが、二〇四〇年には三一・九%に達すると見込まれています。
 高齢化の進展に伴って、運転免許証の自主返納などにより、自動車を運転しない高齢者が増加し、その代替となる移動手段確保の重要性が今後ますます高まっていくものと考えられています。
 しかし、人口減少や担い手不足をはじめとする要因により、身近な交通手段であるバス路線の減便、廃止が進むなど、地域交通は、需要供給の両面から大変厳しい状況に置かれることが想定されます。
 本県の路線バスの状況について、中部運輸局が発行する数字で見る中部の運輸二〇二五で見てみますと、二〇一九年から二〇二三年の五年間に、輸送人員は二六・八%減少し、実車走行キロは六・五%減少しております。
 私の地元である知多地区において運行されているバス路線のうち、今年六月に三路線で約一割から二割減便になり、また、十一月から減便する一路線では、約四割減少する予定であることから、地域住民の日常生活に影響が生じることを懸念しております。
 愛知県全体に目を向けますと、二〇四〇年までに大半の市町村で人口が減少し、特に知多地区の南部や東三河地区の北部では著しく減少することが予測されていることから、利用者の減少による減便や廃止が想定されます。そのため、従来の定時・定路線型の公共交通では、地域住民の足の確保が困難となるケースが増えていくと考えられます。
 国土交通省において、昨年七月、交通空白解消本部を設置し取組を進めておりますが、鉄道やバス、タクシーなどを地域住民や来訪者が使えない交通空白の解消には、交通事業者のみならず、地域の関係者が連携、協働し、地域の交通を支えていくことが重要であるとしております。
 本県では、あいち交通ビジョンや地域公共交通計画に基づき、地域間幹線系統の乗り合いバス維持を目的とするバス運行対策費補助を行っており、今年度から対象路線を拡大して補助するために要件緩和を行うなど、地域交通の維持、充実に向けて様々な取組を進めていると承知しておりますが、今後、さらに実効性のある施策を展開していくことが求められます。
 そこでお伺いします。
 これからの人口減少社会において、県として地域交通の確保に向け、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 質問の第二は、カーボンニュートラルあいちの実現についてであります。
 あいち環境イノベーションプロジェクトの推進についてお伺いします。
 連日、厳しい暑さが依然として続いており、我々の健康や生活に大きな影響を及ぼしています。世界気象機関によれば、二〇二四年の世界の平均気温は、百七十五年間の観測史上最高を記録し、今後、二〇二五年から二〇二九年までの間に、この記録が八〇%の確率で更新されると予測されています。まさしく、国連のグテーレス事務総長が発言したとおり、地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が始まったのではないでしょうか。
 我が国においても、二〇二四年には史上最高の年平均気温を観測しており、農産物の収量や品質の低下、熱中症のリスクの増加といった気候変動の影響が全国各地で現れています。
 地球温暖化に伴う自然生態系への影響も深刻さを増しています。環境省の調査では、暖かい気候を好む樹木や昆虫の増加、藻場、アマモ場の衰退、消失などが報告されています。
 一方、廃棄されたプラスチックによる地球規模の環境汚染も深刻であり、環境省の推計によれば、海洋へ流出するプラスチックごみは、世界全体で年間約八百万トン、我が国からは最大約五千五百トンに及び、海洋環境の悪化、船舶の航行障害、漁業への影響など、様々な問題を引き起こしています。
 我々は、これまで省エネや再生可能エネルギーの推進、植樹やビオトープ造り、廃棄物のリデュース、リユース、リサイクル、いわゆる3Rなどに取り組んできましたが、もはや従来の取組だけでは不十分であり、生産や消費の行動様式を根本から変えるような革新的な技術やアイデアによって、社会の様々な分野で変革を加速し、持続可能な社会を実現することが急務となっています。
 こうした認識の下、本県は、カーボンニュートラルの実現や、ネイチャーポジティブの達成、サーキュラーエコノミーへの転換といった環境分野の課題に対応するため、スタートアップ等と連携し、愛知発の環境イノベーションの創出、実装を目指すあいち環境イノベーションプロジェクトを二〇二三年度から推進しています。
 昨年度は、全国のスタートアップ等から革新的な技術、アイデアの募集を行い、九十六件の応募の中から八つの革新的プロジェクトを採択し、現在、それらの社会実装に向けて伴走支援を進めていると聞いています。
 また、電力、ガス、鉄鋼、自動車といった多分野にわたる地元企業や大学、金融機関、行政機関などが参画するあいち環境イノベーションコンソーシアムを本年一月に設立し、本県の強みである産業力とスタートアップの革新性を結びつけ、地域一体となって環境イノベーションの社会実装に取り組んでいます。
 さらに、今年度も新たな革新的プロジェクトを創出するため、スタートアップ等から技術やアイデアを募集し、全国から多くの応募があったと伺っております。
 そこでお伺いします。
 愛知県の環境イノベーションの創出、実装に向けて、今後どのようにイノベーションプロジェクトを推進していかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 質問の第三は、持続的な本県産業の振興についてであります。
 まず、中小企業のデジタル化、DXの推進についてお伺いします。
 県内中小企業を取り巻くビジネス環境については、国際的には、いわゆる米国関税措置の影響をはじめ、原油・原材料価格の高騰、さらには為替の変動などにより、先を予測することが難しい状況にあります。
 加えて、国内では、少子・高齢化の進展により、人材の確保や育成、定着が喫緊の課題となるなど、経営環境は大変厳しいものとなっております。
 こうした厳しい状況下において、県内の中小企業が今後も発展していくためには、自社の強みを十分に生かし、競争力を高めていく必要があります。そのためには、省力化、効率化を進め、生産性を向上させていく必要がありますが、それを実現するためには、生成AIをはじめ、急速に発展しているデジタル技術を活用した企業経営のデジタル化、DXは有効な手段になると考えます。
 しかしながら、県内中小企業のデジタル化の現状等について県が二〇二四年に行ったアンケート調査によると、未着手のままの企業が一二%あるほか、アナログデータのデジタル化といった取組の初期段階にあるデジタイゼーションにとどまっている企業が七二%を占めております。
 また、個別の業務、製造プロセスのデジタル化を実現するデジタライゼーションの段階まで到達している企業は一四%であり、新たな価値を生み出し、ビジネスモデルを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の段階まで進んでいる企業は、全体の三%に過ぎません。
 こうした調査結果を見ますと、それぞれの企業によってデジタル技術の導入や活用の度合いが異なっていることから、デジタル化、DXに向けた取組が進んでいくためには、各社のデジタル化の状況や目指すところに寄り添った支援を行っていく必要があると考えます。
 加えて、デジタル化の進展に伴い、サイバー攻撃に備える必要も高まっています。二〇二二年二月に県内の自動車部品メーカーに対するサイバー攻撃によって国内関連工場の稼働停止となり、甚大な被害が発生したことは記憶に新しいところです。サイバー攻撃は、ランサムウェア攻撃をはじめ、手口が高度化、大規模化しており、日に日に激しさを増しています。デジタル化の進展と併せて、サイバーセキュリティーの確保について同時に進めていくことが重要であります。
 さらには、中小企業がデジタル化、DXを進めていくに当たっては、企業内においてデジタル人材が必要となります。人手不足に悩む中小企業が積極的に取り組んでいけるよう、デジタル人材の育成を支援していくことも重要であると考えます。
 そこでお伺いします。
 県内中小企業のデジタル化、DXが推進されるよう、県としてどのように支援していかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、本県における水田農業についてお伺いします。
 私が住む知多半島では、地域で栽培されているお米の主力品種、あいちのかおりが成熟期を迎えています。お盆を過ぎても猛暑日が続いていましたが、過酷な条件を乗り越えて今年も豊かに実ることを期待しています。
 さて、昨今は、新聞やテレビなどでお米に関する報道を見ない日がありません。昨年の夏頃から米の供給不足の懸念がしきりに報道され、南海トラフ地震臨時情報に端を発した買いだめなどにより、一時、スーパーの棚から米がなくなる事例が発生をいたしました。価格が前年の倍近くまで高騰するという、いわゆる令和の米騒動の影響がいまだに尾を引いております。
 国は、今年八月五日に開催した第三回米の安定供給等実現関係閣僚会議において、その要因の検証結果を公表しました。これによりますと、需要量を見通す段階で、インバウンド観光客の増加による影響などを考慮していなかったこと、供給量について、高温障害等により、玄米から精米する際の歩留りが悪くなる近年の傾向を見込まなかったことなどが示されました。
 これらの検証結果を受け、政府は、生産量に不足があったことを認め、今後の需給逼迫に柔軟かつ総合的に対応できるよう、今後の増産にかじを切るという政策の方向性を明確に示したところです。
 我が国の主食用米の生産は、国による都道府県別の生産数量目標の配分が行われましたが、この制度は二〇一七年度に廃止されました。二〇一八年度以降は、生産者が需要に応じた生産を行えるようになり、併せて行政や関係団体等で構成する農業再生協議会が生産数量目標の目安を作成し、生産者に情報提供する方式が取り入れられています。
 本県におきましても、同様に生産数量目標の目安が県農業再生協議会において作成され、生産者は、この目安を基に主食用米の作付を行い、残りの水田は、飼料用米や加工用米等、さらに、麦、大豆の生産に活用されています。
 このように、近年の本県の水田農業は、米の需給調整という側面から転換して、飼料用米や加工用米等を地域の需要に応じて生産するとともに、麦や大豆については、国産農産物の需要の高まりに応える生産を実現しつつあります。
 そこでお伺いします。
 政府による米の増産の方向性を受けて、全国の主要産地を中心に米の増産の機運が広がっておりますが、本県における今後の水田農業の振興についてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 質問の第四は、安全・安心な地域づくりについてであります。
 まず、南海トラフ地震防災対策推進基本計画の見直しの対応についてお伺いします。
 本基本計画は、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づき、二〇一一年三月に発生した東日本大震災の教訓を踏まえ、二〇一四年三月に策定されたものです。
 東日本大震災においては、想定をはるかに超える巨大な地震、津波により、一度の災害で戦後最大の人命が失われるなど甚大な被害が生じたことから、南海トラフ地震対策においては、科学的に想定し得る最大規模の地震、津波を想定した検討が行われ、この計画が策定をされました。
 計画策定から十年余りが経過し、国は、本年三月に、新たな被害想定を公表しました。さらに、七月一日には、中央防災会議において、十一年ぶりに基本計画が見直されました。
 新たな被害想定では、直接死が最大約二十九万八千人、災害関連死が最大約五万二千人、建築物の全壊、焼失が最大約二百三十五万棟に上るとされ、引き続き、極めて厳しい想定が示されています。
 今回の基本計画の見直しでは、こうした被害想定や近年の情勢変化等を踏まえ、命を守る対策と命をつなぐ対策を重点的に推進することとし、計百六項目の施策について、特に重要な具体目標を設定し、十年以内の達成を目指すとされています。
 命を守る対策としては、必要な高さを確保した海岸堤防等の整備完了率を、二〇二三年の四二%から二〇三〇年に五〇%へ高めること、社会福祉施設等におけるブロック塀の耐震化率を、二〇二二年の二〇%から二〇三〇年には五三%へ引き上げることなどが示されています。
 また、命をつなぐ対策としては、上下水道が耐震化済みの重要施設の割合を、二〇二三年の一二%から二〇三〇年には三二%へと高めること、国際的なスフィア基準を満たす避難所を設置するための備蓄を、二〇三〇年には全市区町村で達成することなどが挙げられています。
 さらに、基本計画では、デジタル技術を活用した防災対策の推進として、国の新総合防災情報システム(SOBO─WEB)の地方公共団体等の利用率を一〇〇%にすることが挙げられています。命をつなぐためには、関係機関における情報共有が非常に重要であると考えています。
 ここで、一つ紹介させていただくと、東日本大震災や熊本地震ではDMAT(災害派遣医療チーム)が支援すべき病院に向かう際、通行可能な道路の情報が入手できず、時間をロスした事例があったと聞いています。国の新総合防災情報システムは、防災科学技術研究所が二〇一四年から災害対応を行う機関の保有情報を相互共有するために構築した情報流通基盤(SIP4D)の機能を採用したものであります。本県では、既に国の新総合防災情報システムを利用するため、システムへの接続に取り組んでいると伺っており、今後の運用や災害時の活用に期待したいと思います。
 こうした数々の施策により、基本計画では、直接死の死者数を八割減、建築物の全壊・焼失棟数を五割減とする大きな目標が挙げられているところであります。
 南海トラフ地震については、マグニチュード八から九レベルの地震が三十年以内に八〇%程度で発生するとされており、こうした国の動きに対して、切迫感を持って対応していく必要があると考えます。
 そこでお伺いします。
 国の南海トラフ地震防災対策推進基本計画の見直し等を踏まえ、本県として南海トラフ地震防災対策をどのように具体的に進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、インターネットを介した犯罪やトラブルから青少年を守る取組についてお伺いします。
 近年、スマートフォンを利用する青少年の増加等に伴い、SNSをはじめとするインターネットを介した犯罪やトラブルが深刻化し、青少年が巻き込まれるケースが後を絶ちません。
 こども家庭庁が満十歳から十七歳までの青少年五千人を対象に行った令和六年度青少年のインターネット利用環境実態調査によりますと、十二歳から十七歳までの青少年では、六割から九割がSNSを利用しています。
 また、総務省が昨年六月に公表した我が国における青少年のインターネット利用に係る調査では、中学一年生から高校三年生までの約六百名にアンケートを行った結果、インターネット利用において遭遇したトラブルとして、五二・四%がトラブルに遭遇したことはないと答える一方、性的な自画撮りを送ってしまった、一・一%、インターネット上で見知らぬ人に会って性的被害に遭いそうになった、一・六%、高額な違法バイトの情報を見て参加しそうになった、〇・七%などとなっており、インターネットによる危険が青少年の身近に潜んでいることが伺えます。
 実際、SNS上で知り合った相手からだまされる、脅かされるなどして、自分の裸体の撮影画像等を送らされる自画撮りの被害や、SNSなどを通じて闇バイトに応募し、特殊詐欺や強盗等の犯罪行為に加担する事件に見られるように、SNSが悪用され、青少年が巻き込まれる事件も相次いで発生しています。
 青少年をインターネットによる犯罪やトラブルから守るためには、まずは、保護者をはじめとする私たち大人が、危険性や対処法を正しく理解することが重要だと考えます。
 一方で、ほとんどの青少年がスマートフォンを利用することが当たり前になった今、それだけでは十分とは言えません。SNSをはじめとしたインターネット自体は、コミュニケーションツールや情報収集の手段として正しく使いこなせば大変便利であり、これからの社会生活では、もはや欠かすことのできないものであります。重要なのは、利用する青少年自身にインターネットの危険性をしっかり理解してもらうことであり、安全に利用するための知識を身につけられるよう導くことが不可欠です。
 そこでお伺いします。
 このような社会情勢を踏まえ、青少年がSNSをはじめとするインターネットに起因した犯罪に巻き込まれないようにするため、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、交通事故防止に向けた取組についてお伺いします。
 私が警察委員長を務めていた当時、本県では、交通死亡事故ワーストワンという不名誉な状況が続いておりましたが、多くの方々の御尽力により、ワーストワン返上を果たすことができました。これは、県警察や関係機関、市町村、そして県民の皆様が一体となって努力された成果であると考えております。
 本県の交通事故死者は、全国的に見れば、例年、ワースト上位にあるものの、長期的な視点では、昨年の交通事故死者は、ピークであった一九六九年の六分の一以下まで減少しております。
 交通死亡事故減少の理由には、県民の皆様が交通ルールをしっかりと守ってきたことが一番に挙げられますが、自動車の安全技術や医療・救命技術の進展も大きな要因の一つであると考えられます。
 こうした社会技術の進展は、我々に生活様式の変化をもたらし、その変化に伴って、道路交通ルールや制度も変化してきているところであります。近年では特に大きな変化が続いており、二〇二三年には、新たなモビリティーとして、電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車が導入されたほか、昨年十一月には、自転車の酒気帯び運転や、スマートフォン等のながら運転の厳罰化、本年三月からは、いわゆるマイナ免許証が導入されております。そして、来年四月からは自転車の交通違反に対して、いわゆる青切符が適用されることになり、違反に対する取締りの在り方について県民の皆様の関心が高まっていく中で、改めて自転車の交通ルール遵守に向けた対策が大きな課題であると認識しております。
 こうした中、本年度は、第十一次愛知県交通安全計画の最終年度であり、計画に定められた二十四時間交通事故死者数を百二十五人以下にするという目標を何としても達成しなければなりません。本年八月末現在の交通事故死者数は六十九人と、前年に比べて二十二人の減少となっておりますが、人身事故全体では増加している状況にあることに加え、例年、年末にかけて交通死亡事故が多発する傾向にあることを踏まえると、予断を許さない状況にあると認識しております。
 そこでお伺いします。
 自転車の交通違反に対する青切符の適用を控える中で、本年の交通死亡事故の特徴を踏まえ、県警察として交通死亡事故の抑止対策をどのように取り組まれるのか、警察本部長の御所見をお伺いします。
 質問の第五は、誰もが活躍できる社会の実現についてであります。
 まず、結婚支援の取組についてお伺いします。
 二〇二五年六月に公表された人口動態統計によれば、二〇二四年の日本の出生数は約六十八万六千人と、第二次ベビーブームであった一九七三年の約二百九万二千人に比べ、約七割減少した中、一人の女性が生涯に産む子供の数に相当する合計特殊出生率も一・一五まで減少し、いずれも過去最少を更新しております。
 少子化の要因としては、未婚化や晩婚化のほか、子育てに関する経済的、また肉体的、心理的な負担感などがあると言われており、要因に応じた総合的な対策が急務となっています。
 中でも、完結出生児数と呼ばれる、結婚して十五年以上連れ添った夫婦の子供の数が、減少傾向とはいえ、一・九人であることを踏まえますと、少子化対策として、まずは結婚を希望する方々が、できるだけその希望をかなえられるよう支援することが有効ではないかと考えます。
 こども家庭庁が二〇二四年に若者を対象として実施した意識調査によりますと、結婚のハードルは、そもそも出会いの場所や機会がないことであるとした人が最も多かったということです。また、結婚したいと思っているが、交際相手がいない未婚者で、全くまたはあまり相手を見つける行動をしていないという人は八割を超えていました。このことから、若い世代がお相手を探そうと思うきっかけづくりを支援することが求められているのではないかと考えられます。
 こうした中、県では、二〇二三年度から四百人規模の大規模婚活イベントを開催しています。大勢でにぎやかに楽しめるイベントとして定着しつつあり、県が主催しているということもあって、若い方々が安心して婚活への一歩を踏み出せると、大変効果的な取組だと思います。
 一方で、婚活イベントには、私もかつて知人に頼まれてオブザーバー的に参加した経験がありますが、限られた人数とイベント時間の中では、気の合う方が見つからなかったり、また、初めて出会った人との会話が苦手な方もいらっしゃるなど、全ての方が交際まで至るということはなかなか難しいものだと感じたことがありました。そのため、じっくりと時間をかけて、自分に合ったお相手を探す仕組みの提供も重要だと思います。
 こうした点で、昨年十一月には、あいち結婚サポートセンターが開設され、AIを活用したマッチングが開始されていると聞いており、私も県の取組には大いに注目しているところであります。
 そこでお伺いします。
 結婚を希望される方を支援するため、県としてどのような取組を進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、中小企業における働き方改革の推進についてお伺いします。
 日本の総企業の九九・七%を占め、雇用の約七割を支える中小企業は、地域経済の基盤を形成し、経済成長を牽引する原動力となっており、地域経済、社会の維持、再生には、中小企業のさらなる発展が不可欠であります。
 そのためには、DX、デジタル化による経営・生産効率の向上、人材の確保、育成、適切な価格転嫁や取引の適正化の推進、さらには従業員の働き方も含めた労働環境の改善など、中小企業の経営基盤を強化するため、継続的かつ多面的に取り組んでいくことが重要であると考えております。
 そうした中、中小企業の経営者から伺ったところ、米国の関税措置の不透明さにより景気が大きく左右され、先の状況判断が難しくなっているとの声がありますが、中小・小規模企業への影響を最小限に抑えるため、県において企業の実情に寄り添った支援を行い、国に対しても必要な支援を行うよう働きかけていただいているところであります。
 また、労働力人口の減少による深刻な人手不足が慢性化し、物価も上昇し続けているため、給与も上げないといけないが、利益率も下がっており、厳しい状況が続いているとの声も聞いていますが、全国的に賃金がさらに上がることが予想されているところであり、物価高騰に伴う賃金引上げや人手不足対策は、中小企業の事業の継続、発展にとって、まさに喫緊の課題であります。
 こうした課題に対応していくためには、働く人にとって働きやすく、休みやすい職場環境の整備により、働く場として魅力を高めていくとともに、生産性を向上させていくことが欠かせません。その点で、現在進められている有給休暇の取得促進や勤務間インターバル制度の導入促進などの働き方改革は、その双方に対して、極めて効果的な取組であると考えます。
 働き方改革の実現は、勤労者にとっても事業者にとってもよい結果をもたらし、中小企業の発展、ひいては日本の繁栄につながっていくと確信しております。
 しかしながら、中小企業においては、人員や資金面の制約もあり、働き方改革の取組を十分に進められない事例も少なくありません。
 そこでお伺いします。
 中小企業による働き方改革の推進を図るため、県としてどのように支援し、取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、聴覚障害者施策についてお伺いします。
 人と人が暮らす社会では、自分の思いや気持ちを自由に伝えられること、相手の思いや気持ちを理解し、互いの意思や感情を伝え合うことなどのコミュニケーションは、全ての人にとって生活に欠かせない大変重要なものであります。
 中でも、聞こえない・聞こえにくい人、いわゆる聴覚障害者の方は、情報の取得が困難であることから、コミュニケーションの選択や知る権利を奪われているのではないでしょうか。障害のある方に情報を保障することは、社会に参加する上で極めて重要であり、他者との意思疎通を図るための取組が求められているところであります。
 先日、私は、あいち聴覚障害者センターの方からお話を聞く機会がございました。お話を伺うと、聴覚障害者にとって手話や要約筆記などのコミュニケーション手段を用いて情報を保障することは、障害のある方の社会参加には重要な支援であり、こうした情報の保障について県は以前より取り組まれていることとは思いますが、社会生活を営んでいる地域にかかわらず、等しく情報を取得、利用し、意思疎通できることも大切であるとお聞きしております。
 全ての県民がコミュニケーション手段を利用することの重要性を認識し、その選択の機会の確保や利用機会の拡大が図られることが望まれるところであります。
 そうした中、今年六月に、手話に関する施策の推進に関する法律が施行されました。この法律は、手話に関する施策に関し、基本理念を定め、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資するよう、手話に関する国民の理解と関心を深めるものとされ、国や地方公共団体の責務を定めるとともに、手話施策を総合的に推進するため制定されたものです。
 この中には、聴覚障害児への支援として、学校における手話による教育等も定められており、手話の技能を有する教員や手話通訳を行う者等が適正に配置されるための取組の推進などが規定されております。
 また、学校において、児童生徒等の手話に関する理解と関心が深まるよう、手話を学習することができる機会の提供も求められています。
 この法律の制定を契機として、手話を必要とする子供たちが、希望により手話を習得することができるよう、手話を使用する子供が多く在学する聾学校の環境がさらに整備されるとともに、手話を知らない子供たちに対しても手話への理解が一層広がることが望まれています。
 こうした中、今年十一月には、聞こえない・聞こえにくい人の国際スポーツ大会であるデフリンピックが我が国で初めて開催され、手話に関する国民の関心も高まってきております。
 そこでお伺いします。
 聴覚に障害のある方が、必要な情報を取得し、円滑に意思疎通できるようにするため、県はどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 また、今回の法律の施行を受け、聾学校における学習環境の整備や、小中学校等における手話の理解と関心を深める取組をどのように進められるのか、教育長の御所見をお伺いします。
 最後に、児童生徒の自殺予防についてお伺いします。
 厚生労働省、警察庁の自殺統計によりますと、全国における二〇二四年の児童生徒の自殺者数は五百二十九人で、統計のある一九八〇年以降、最多となっており、大変憂慮すべき状況にあります。
 自殺に至った原因、動機としましては、学校問題が二百七十二件と最も多く、次いで、健康問題、家庭問題となっています。
 学校問題の内訳を見ますと、学業不振や入試、進路に関する悩みが最も多く、約五割を占め、次いで、いじめ、学友との不和が約三割となっています。
 こうした中、児童生徒の自殺が夏休み明けに多いことから、先月、大村知事から子供たちに向けメッセージが出され、どうしていいか分からないときは、一人で抱え込まず、家族や先生、周りの友だちなどに気持ちを話すよう、また、周りの人に話しづらいときには、SNSや電話の相談窓口を利用するよう呼びかけられました。
 自ら命を絶とうとする子供をなくすためには、このメッセージにあるように、相談できるような環境を整え、悩みや困難を抱える子供の早期発見に努めることが極めて重要であると考えます。そのためには、まずは、学校において子供たちが気軽に相談できる体制を整えるとともに、先生や家族にも相談できないこともありますので、県や市町村などが設置する相談窓口やその連絡方法を日頃からしっかりと伝えていく必要があると考えます。
 また、近年では、スマートフォンの所持が小中学生にも広がり、多くの子供たちがメールやSNSを利用してコミュニケーションを取るようになりました。その結果、それらを利用した特定の児童生徒に対する誹謗中傷や人権侵害が行われ、そのことが自殺の原因の一つになっているのではないでしょうか。
 しかし、LINEなどのSNSは、外部から見えないグループ内や個人同士のやり取りの中で誹謗中傷などが起きることから、教員や保護者など周囲の大人が、悩みや困難を抱える児童生徒の存在に気づきにくく、状況の把握が難しいという課題があります。SNSを利用する際には、子供たち自身が、ルールやモラルを意識した利用を心がけるとともに、万が一、ネット上の誹謗中傷や人権侵害に遭ったときにどうすればよいかという対処法を知っておくことが必要だと思います。
 そこでお伺いします。
 児童生徒の自殺を予防し、貴い命を救うため、県教育委員会としてどのような取組を行っていかれるのか、教育長の御所見をお伺いします。
 以上、あいち民主県議団を代表して、県政各般にわたる様々な課題についてお尋ねいたしました。真摯な御答弁をお願い申し上げまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔知事大村秀章君登壇〕

◯知事(大村秀章君)
 あいち民主県議団幹事長の朝倉浩一議員の質問にお答えをいたします。
 初めに、アジア競技大会及びアジアパラ競技大会についてのお尋ねであります。
 大会開催に向け、開催都市と組織委員会が両輪となり準備を進めているところでありまして、大会成功のためには、準備を着実に進めるとともに、機運醸成の取組が大変重要であると認識をいたしております。
 このため、九月二十日を皮切りに開催をしております愛知・名古屋二〇二六、一年前イベントでは、競技デモンストレーションや競技体験などを通じて大会や競技の魅力をお伝えいたしております。
 また、十月十八日には、全米オープン二〇二五、車椅子テニス男子シングルスを制し、生涯ゴールデンスラムを達成された小田凱人選手をお迎えして、国際大会での経験を基に、パラスポーツの魅力を伝えていただきます。多くの方々に世界のトップ選手の生の声をお聞きいただいて、大会への期待を高めていただきたいと思います。
 さらに、今後、大会開催までの間、チケット販売や聖火リレーのランナー決定など、大きな注目を集める行事が続きますので、このような機会を通じてしっかりと機運醸成の取組を行ってまいります。
 大会開催までの残りの期間は、二〇一六年の開催都市決定から、これまで取り組んできた機運醸成活動を開花させる重要な期間であります。名古屋市、組織委員会をはじめ、国、関係団体、パートナー企業など、関係者一丸となり、日本のみならず、世界中から多くの皆様に競技会場へお越しをいただいて、大声援の中、選手の皆様が力を発揮し、多くの皆様に夢と感動を届けることができる大会を目指し、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 次に、地域交通の確保に向けた取組についてであります。
 これからの人口減少社会において、住民の身近な移動手段である地域交通を持続可能なものとするためには、鉄道や路線バスなど既存の移動手段だけでなく、第二種運転免許を持たない一般の方がドライバーとなる公共ライドシェアや、事前予約により運行するデマンド型交通などの新たな選択肢も視野に、地域の輸送資源を総動員して地域交通を再構築していくことが必要であります。
 そのため、昨年度に設置をした愛知県・市町村人口問題対策検討会議での議論を踏まえ、県としてこれまで以上に地域の状況に応じた支援に取り組んでまいります。
 具体的には、今年度から新たに、専門知識や合意形成スキルを有するコーディネーターを希望する地域へ派遣し、公共ライドシェアの立ち上げを支援することとしております。住民をはじめ、地域の関係者が参加するワークショップに出向き、きめ細やかな伴走支援を行う本事業は、全国でも数少ない取組であり、こうした施策を通じて新たなモビリティーサービスの導入を加速してまいります。
 さらに、地域交通の再構築に取り組む人材の確保が急務であることから、市町村や交通事業者を対象にリーダー養成研修を行うとともに、県が実施したデマンド型交通やMaaS実証実験の成果と課題を共有し、人づくりを積極的に進めてまいります。
 本県としては、市町村や交通事業者などと、より一層の連携を図り、住民の生活を支え、地域を活性する重要な基盤である地域交通の確保にしっかりと取り組んでまいります。
 続いて、あいち環境イノベーションプロジェクトの推進についてお答えをいたします。
 まず、昨年度採択をした八つのプロジェクトにつきましては、企業とのマッチングや実証実験の実施など、社会実装に向けた伴走支援を進めております。
 具体的には、ドローンとAIを活用した森林モニタリングプロジェクトでは、スタートアップとあいち環境イノベーションコンソーシアムの会員企業が、健全な森林管理等の検討に関するMOUを締結し、森林モニタリングの実証に着手するとともに、CO2の回収・固定化プロジェクトでも、海面最終処分場でCO2を固定化する実証を開始するなど、いずれのプロジェクトにおきましても、地域一体となった取組が着実に進展しております。
 また、その第二弾といたしまして、今年五月から七月にかけて全国のスタートアップ等から革新的な技術やアイデアを募集したところ、十七都道府県の七十二社から八十一件の御提案をいただきました。
 その中から、駅や商業施設での実装を目指し、AIによりごみ分別する運搬式ごみ箱ロボットや、バイオテックの活用により工場排水中の油を分解処理する装置の開発など、革新的で地域の環境課題等に即した四つのプロジェクトを本日付で採択いたしました。
 今後、専門家によるロードマップづくりなどの事業化支援や、プロジェクトのピッチイベントの開催、さらには、コンソーシアムを中心とした地元企業とスタートアップとの連携交流の促進などに取り組んで、従来の延長線上にない愛知発の環境イノベーションの創出実装を目指してまいります。
 次に、中小企業のデジタル化、DXの推進についてであります。
 県内中小企業が厳しい経営環境を乗り越え、今後の成長につなげていくためには、デジタル化による生産性向上や、新たな付加価値創出を実現するDXの取組をしっかりと支援していくことが重要であります。これは、議員御指摘のとおりでございます。そのために、中小企業それぞれのデジタル化の取組状況や課題に応じたきめ細やかな施策が必要となるわけであります。
 このため、県では、多様な相談に専門家がワンストップで対応するデジタル技術活用相談窓口の設置をはじめ、普及啓発セミナーの開催、デジタル技術を活用した業務改善の伴走支援を行うとともに、サイバー攻撃を想定した机上演習やセキュリティー診断を実施し、デジタル化の取組を総合的に支援しております。
 さらに、今年度から、DXに向けた計画策定の専門家による伴走支援や、中小企業デジタル化・DX支援補助金においてコンサルティング費用を補助対象とするなど、制度を拡充したところであります。
 これまでの支援を通じて、デジタルツールの導入によって労働時間の削減や生産設備の稼働率向上を実現した事例も出ておりまして、こうした優れたモデルケースを創出して、広く横展開することによって、デジタル化、DXの成功事例を多数生み出す好循環を実現してまいります。
 このほか、中小企業のデジタル化、DXを推進する人材について、経営者向けの意識啓発セミナーや、社員向け研修へのアドバイザー派遣、社内の階層に応じた研修を実施するなど、生成AI等最新の動向も踏まえた育成事業を推進しております。
 引き続き、こうした企業の取組状況や課題に応じた支援を通じて、県内中小企業のさらなる成長をしっかりと後押ししてまいります。
 続いて、本県における水田農業についてお答えをいたします。
 本県では、五十四市町村全てで水田農業が営まれており、地域の条件に応じて多様な作物が作付されております。こうした水田の多様性を維持しながら、食料の安定供給を図ることが極めて重要であります。
 国は、今般、今後の需給逼迫に柔軟に対応するため、米の需要に応じた増産を実現していく方針としており、本県としても、こうした動きに適切に対応する必要があります。
 このため、JAグループ愛知をはじめ、県農業会議や稲作経営者会議などと連携、協力しながら、二〇二六年産米について、需要に応じた増産が実現できるよう、スマート機能を有した機械の導入など生産者の取組を支援してまいります。
 一方、本県は、水田を区画で分けて、稲のほかに、麦、大豆を国の交付金を活用して輪番で生産するブロックローテーションの先進的な地域となっております。特に麦につきましては、県農業総合試験場が開発した小麦が広く作付されておりまして、十アール当たりの反収は、全国トップレベルの高い生産性を誇っております。
 農繁期を分散できるブロックローテーションは、年間を通じて生産者が水田を最大限活用できるほか、農業機械の有効利用につながるメリットがあります。そのため、主食用米の需要に応じた増産と併せて、引き続き、これを推進していくことが重要と考えております。
 なお、国は、二〇二七年度に水田政策の見直しを行う予定としておりますが、このブロックローテーションが維持されるよう、私から八月に、農林水産省に対し直接要請を行ったところであります。
 引き続き、本県特性を生かした水田農業の発展に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、南海トラフ地震防災対策推進基本計画の見直しへの対応についてのお尋ねであります。
 基本計画は、国の南海トラフ地震防災対策の推進に関する基本的方針を定めるとともに、都道府県防災会議が地域防災計画において定める南海トラフ地震防災対策推進計画の基本となるべき事項等を示すものとなっております。
 今回の基本計画の見直しは、今年三月に公表された国の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの報告書により示された新たな被害想定や具体的な対策を受けたものであります。
 本県では、こうした国の動きを注視するとともに、並行して地震防災対策の見直しの検討を進め、今年三月に、地震防災対策のアクション項目を整理したあいち防災アクションプランを策定いたしました。
 プランには、今回の基本計画の見直しで新たに追加された災害関連死防止のための避難者の生活環境整備や上下水道施設の一体的な耐震化などの取組について、国の対策を先取りする形で盛り込んできたところであります。
 さらに、現在、本県においては、来年六月頃の公表に向けまして、愛知県独自の南海トラフ地震の被害予測調査を進めており、この中で、今後必要となる対策を明らかにしていくこととしております。
 今回の国の基本計画の見直しや本県の被害予測調査の結果を踏まえ、必要に応じて地域防災計画及びアクションプランの見直しを行い、本県の地震防災対策の一層の強化につなげてまいります。
 続いて、インターネットを介した犯罪やトラブルから青少年を守る取組についてであります。
 本県では、これまで、青少年が安全にインターネットを利用できるように、児童生徒や保護者、教員等を対象とした出張講座、みんなのネットモラル塾を開催するなどして、具体的なトラブル事例の紹介や対応、家庭におけるインターネット利用のルールづくりの必要性などの周知啓発に取り組んでまいりました。
 しかしながら、近年、SNSに起因する自画撮り被害や、いわゆる闇バイトなど、新たな犯罪に青少年が巻き込まれる事案が後を絶ちません。
 このため、本県では、自画撮り被害の防止に向けて青少年保護条例を改正し、本年七月一日から児童ポルノ等の提供を求める行為を禁止するなど、規制を強化したところであります。
 また、闇バイトについては、特殊詐欺や窃盗等の実行者をSNSで募集し、青少年が応募してしまうケースがあり、本県の特殊詐欺で検挙された二十歳未満の者が、二〇二二年には十八人であったところですが、二〇二四年には五十人と二・八倍となっております。こうしたことから、闇バイトの危険性や違法性などを周知するため、昨年度から県警察と連携した講座を開催しており、本年度は、県警連携講座の数を倍増いたしております。
 さらに、オンラインカジノについても、二〇二五年三月に変更された国のギャンブル等依存症対策推進基本計画で、違法性等の周知が位置づけられたことから、本県においても今年度の講座内容に新たに加えたところであります。
 今後も最新の社会情勢を踏まえ、教育委員会や県警察と連携をしながら、青少年が犯罪やトラブルに巻き込まれることなくインターネットを適正に利用できるよう、周知啓発にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、結婚支援の取組についてお答えをいたします。
 議員からは、全国の二百九万人が六十八万になったというような数字を言っていただきましたが、これ、愛知県の数値を申し上げますと、本県の二〇二四年の出生数は四万五千五百十五人でありまして、ピークでありました一九七三年、第二次ベビーブームのとき、一九七三年のときが十二万五千三百九十五人でありましたので、実に、約八万人減少、約六四%減少をしております。全国が七割なので、ちょっとはましなのかもしれませんが、愛知県も六四%減少をしておりまして、合計特殊出生率も全国は一・一五でしたか、愛知県は一・二二ということでありますが、全国平均よりはちょっといいのかもしれませんが、それでも大変厳しい数値ということでございます。減少して、ともに統計以来、過去最少となりました。このため、結婚支援をはじめとする少子化対策の取組を強化していくことは、極めて重要な課題であると考えております。
 今年度で三回目となります大規模婚活イベントを、愛・地球博記念公園におきまして六月に開催をいたしましたが、定員四百人に対し、これまで過去最高の倍率六・四倍となる二千五百六十八人の御応募をいただきまして、大変御好評をいただいたところであります。
 また、参加者の約八割が婚活イベントの参加が初めてとのことでありまして、結婚を希望する方の背中を押す役割を十分果たせたものと考えております。
 加えて、参加者の方には、AIマッチングシステムを活用したあいち結婚サポートセンターについて周知をして、イベント当日だけではなく、その後においても婚活を続けていただけるよう、積極的な登録を呼びかけたところであります。
 このセンターでは、相談員が一人一人に寄り添って、出会いから成功に至るまでの様々な相談にお答えする伴走型の支援を実施しております。本年九月十五日時点で、登録者は二千九百六十一人と順調に増加をして、成婚された方々も十組に至るなど、着実に成果を上げているところであります。
 このほかにも、民間の非営利団体が開催する婚活イベントへの助成や、結婚支援の取組を実施する市町村への助言を行うなど、今後も結婚を希望する方々を後押しして、一人でも多くの方がその望みをかなえていただけるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。
 続いて、中小企業における働き方改革の推進についてであります。
 長時間労働の是正や、働き方の多様な選択肢を広げる働き方改革の推進は、企業の魅力向上や優秀な人材の確保、また、働く人のモチベーションや生産性の向上にもつながる極めて重要な取組です。
 特に、地域の経済、雇用を支える中小企業が、従業員にとって働きやすく、休みやすい環境づくりに積極的に取り組めるよう、本県として、関連法の周知啓発はもとより、様々な支援施策を実施しております。
 具体的には、従業員の年次有給休暇の取得率の高い中小企業等を、休み方改革マイスター企業として認定し、建設工事の入札参加資格審査での加点など各種の優遇措置を講じております。本年八月末時点で六百五十九の会社、団体を認定しており、多くの中小企業等による休暇を取得しやすい職場づくりを後押しする成果を上げております。
 また、勤務終了後、翌日の出勤までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する勤務間インターバル制度は、働く人の健康維持のほか、仕事の生産性を向上させる効果も大きいとされております。
 このため、本年一月、本県として勤務間インターバル宣言を行うとともに、七月には、経済・労働団体等を対象にフォーラムを開催するなど、企業の制度導入拡大に向けて普及啓発を展開しております。
 さらに、男性従業員による育児休業取得の促進に積極的な中小企業等を、最大百万円の奨励金により支援するなど、男女ともに働きやすく、休みやすい職場環境の拡大を進めているところであります。
 今後も中小企業の働き方改革を力強く支援し、その経営基盤強化と働く人のワーク・ライフ・バランスの実現を図ってまいります。
 私からの最後の答弁となりますが、聴覚障害者による情報の取得及び意思疎通に係る施策についてお答えをいたします。
 聴覚に障害のある方が、手話言語や文字情報など、それぞれのニーズに応じたコミュニケーション手段を活用し、円滑に意思疎通できるよう支援することは、社会参加を支える重要な取組であると考えております。
 本県では、障害の有無にかかわらず、誰もがお互いの思いや気持ちを伝え合い、心豊かに暮らすことができる社会の実現を目指し、二〇一六年に手話言語・障害者コミュニケーション条例を制定し、取組を進めてまいりました。
 特に、聴覚に障害のある方への支援につきましては、手話通訳者、要約筆記者等の養成を進めるとともに、県民向けセミナーの開催など、支援者の養成や理解の促進に努めてまいりました。
 また、スマートフォン等で御利用いただけるコミュニケーション支援アプリを開発し、病院や避難所などにおいて、文字やイラストを指し示すことで円滑な意思疎通を可能とするなど、聴覚に障害のある方が意思を伝え、情報を受け取るための支援にも取り組んでおります。
 さらに、市町村の担当職員が一堂に会する連絡会議を開催し、手話通訳者の派遣状況などについて情報を共有するなど、県内全域での支援の質の向上を図っているところでございます。
 県といたしましては、こうした取組を今後も着実に実施し、聴覚に障害のある方が、自らの意思をしっかりと伝え、地域で安心して暮らすことができるよう、地域共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。
 以上、御答弁申し上げました。

◯警察本部長(佐藤隆司君)
 交通事故防止に向けた取組についてお答えいたします。
 本年八月末現在の交通死亡事故の特徴としまして、年齢別では、高齢者が約五割を占め、依然として高水準で推移しているほか、当事者別では、自動車等が約六割を占めております。
 また、自動車等の運転者による速度超過や横断歩行者妨害を原因とする死亡事故が約二割を占めているほか、自転車や歩行者の信号無視による死亡事故も発生しております。
 県警察といたしましては、こうした特徴を踏まえ、交通事故が発生する時間帯や場所を分析した上で、速度超過や横断歩行者妨害などの悪質、危険な違反取締りを強化し、運転者の確実な交通ルール遵守を図ってまいります。
 加えて、例年秋以降は、夕暮れ時に重大事故が多発する傾向にありますことから、運転者には早めのライト点灯やハイビームの活用、歩行者には反射材用品の活用や道路横断時の安全確認等について広報するほか、夕暮れ時間帯にシフトした街頭活動を推進してまいります。
 さらに、議員お示しのとおり、来年四月からは、自転車の交通違反に対して、いわゆる青切符の適用が開始されますことから、交通安全キャンペーンの実施や、SNS等のあらゆる媒体を活用した広報活動を推進するほか、学校や事業者等に対する交通安全教室を通じて、自転車の基本的な交通ルールのさらなる周知及び安全利用の促進を図ってまいります。
 今後とも自治体や関係機関、団体等と連携して、一件でも交通事故を減らせるよう各種対策を推進してまいります。

◯教育長(川原馨君)
 初めに、手話施策推進法の施行に伴う、学校における取組についてお答えいたします。
 まず、聾学校における学習環境の整備についてであります。
 県立聾学校では、学校生活全般において、子供たちの発達段階や聴覚障害の状態、コミュニケーション手段に応じて、手話や音声、文字情報を併用したきめ細かな指導を行うなど、子供たちが円滑に意思疎通できる環境づくりに取り組んでおります。
 また、聾幼児教育相談員を配置し、入学前から手話を必要とする乳幼児の家族に対して相談や助言を行うなど、乳幼児期からの支援にも取り組んでおります。
 このたびの法律の施行を受け、聾学校の教員の手話に関する技能の一層の向上を図るとともに、高度な技能を有する手話通訳士等の配置についても検討を進め、手話を必要とする子供たちの学習環境が向上するよう取り組んでまいります。
 続いて、小中学校等における手話の理解と関心を深める取組についてであります。
 県内には、市町村の社会福祉協議会による出前講座を活用し、手話での自己紹介や簡単な日常会話を体験するなど、手話への理解を深める取組を行っている学校があります。
 今後は、こうした取組を小中学校、高校の教員研修や市町村との会議等を通じて、県内のより多くの学校に広め、子供たちが手話に触れる機会を増やしてまいりたいと考えております。
 法律の施行を契機として、手話に関する取組の充実を図ることで、手話を必要とする子供たちが安心して学べる環境を整えるとともに、多くの子供たちの手話に対する理解や関心が深められるよう努めてまいります。
 次に、児童生徒の自殺予防についてお答えいたします。
 全国における児童生徒の自殺は増加傾向が続いており、自殺を予防するためには、悩みや不安等の早期発見が何よりも重要であると認識をしております。
 そのため、各学校において、定期的なアンケートや、教員やスクールカウンセラーによる面談を実施するとともに、県教育委員会では、悩みを対面で伝えにくい児童生徒のために、電話やSNSで相談できる窓口を設け、その啓発リーフレットを広く生徒や保護者に配付しております。
 また、議員お示しのように、スマートフォンの普及により、児童生徒がSNSを利用する機会が増え、トラブルのリスクが高まっております。そのため、SNSを利用する際のルールやモラルを学び、トラブルを回避できる力を育てていく必要があると考えております。
 こうしたことから、県教育委員会では、ネットに勝手に友人等の写真を掲載しない、メッセージを送るときは、読む相手のことを考えるといった基本的なルールやモラルに加え、SNSで嫌なことを書かれるなどのトラブルになってしまったときの対処方法等、様々なケースを成長段階に合わせて学ぶことができる新たな教材として、GIGAワークブックの作成を進めております。
 今後、この教材も活用し、児童生徒がネット上のトラブルに適切に対応できる力を育成してまいりたいと考えております。
 こうした取組を通して、児童生徒が一人で悩みを抱え込むことなく、安心して学校生活を送ることができるよう、しっかりと取り組んでまいります。

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